自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

~自然に触れる、学ぶ、そして守る~ 自然環境や生物多様性、自然体験型ツアーについての情報をお届けします。

黒姫山(北信五岳その4)

はるか西の台風の影響か、一昨日は空気が澄みわたり、青田に浮かぶ北信五岳がさわやかに見えました。黒姫火山は野尻湖の西、妙高山と飯縄山の間にあります。南から北へ約8km間隔で飯綱-黒姫-妙高と火山が直線状に並び、しかも北に向かって順次活動が新しくなります。妙高市在住のH氏の研究によれば、黒姫火山の活動のはじまりは約25万年前にさかのぼり、現在を含む3回の休止期をはさんで過去3回の活動期を経てきたとのことです。



南の飯綱火山より歴史が新しいこともあり侵食の程度が少なく、火山体としての形がよく残っています。馬蹄(ばてい)形のカルデラをとりまく外輪山の一角に最高地点(標高2053m)があり、カルデラ内に中央火口丘の小黒姫山(標高2046m)をもつ二重式火山です。カルデラ底には大池と七ッ池湿原があり、変化に富む景観が魅力です(下はカルデラ火口原と中央火口丘の秋の様子)。

黒姫山にはいくつもの登山ルートがありますが、ブナ林や湿原、火口原の湖沼など地形や植物をゆっくり見ながら登りたいという人には、南麓の古池から大ダルミ湿原を経て、西登山道をたどって山頂に至るルートがおすすめです。山頂に立てば、飯縄山や戸隠などの山々が間近に迫ります。

ところで、長野県には明治時代に日本一の奇人として名をとどろかせた人物がいます。保科五無斎(ほしなごむさい)という人で、信州の地学教育の祖ともいえる活躍をした偉人です。時間があれば、ついでに山頂のすぐ北側の岩に注目してみてください。一部苔むしていますが、岩の表面にかすかに丸いくぼみが並んでいるのがみつかります。これは今から100年以上も前に、五無斎先生が子供たちの教育用にここで岩石標本を採取したときに、記念に彫りつけた九曜星の紋です。彼がなぜ奇人と呼ばれたのかについては、面白すぎる話が多いので、また別の機会にしましょう。

五無斎先生に

~ 夏空のやうなこころの奇人かな ~

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