2011.06.24 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
守屋山(列島の東西を結ぶ山)
諏訪湖のすぐわきに、守屋山という山があります。
守屋山は、山そのものが諏訪大社上社のご神体といわれています。東峰と西峰の2つの頂があり、標高1650mの西峰のほうが東峰よりも約20m高くなっています。ただし、神の降りる磐座(いわくら)となる岩は、東峰に露出しています。古くからの信仰の山ですが、自然史という目でみても地域の遺産といえる意味があります。
山頂の岩は緑がかっていて、前回の入笠山の岩に似ています。両者は海底火山活動でできた火山岩という点では共通性があり、こちらは緑色凝灰岩(りょくしょくぎょうかいがん)と呼ばれる石です。ただし、入笠山が約2億年前の石であるのに対し、こちらは約2000万年前の石で、年齢としては一けたも若いのです。さわってみると、若いぶんだけ少しやわらかい感触があります。
眼下の諏訪湖の縁には糸魚川-静岡構造線の大断層が通り、守屋山は断層の西側にあります。その位置関係からすれば、列島西側の古い地質の山であってよいはずです。ところが、この山は断層の西側にありながら例外的に東側の新しい地質で出来ています。
約2000万年前は日本海が生まれ、日本列島の原型が姿をあらわした時期です。当時の糸魚川-静岡構造線によって列島は東西に引き裂かれ、フォッサマグナという巨大な溝が出来てそこに海が入り込みました。今ではすべてが山になっていますが、現在の守屋山に残る緑色凝灰岩は、かつて東側に広がったフォッサマグナの海が断層の境界を越えて西側へも張り出したことを示す貴重な証拠です。ここは列島の東西を結ぶ要(かなめ)といえるのかもしれません。
古代の人々がこの場所にそういう意味を感じとったかどうかはわかりません。山頂にある石の祠は、雨乞いのときに谷に落とされたものだそうですが、今は鉄格子で囲われています。
訪れた22日は、梅雨の晴れ間の暑い日でした。山頂に着いたときだけ、つかの間の急な雨にあいました。
<夏至を迎えて>
~ 守屋山 打ち水ほどの雨を呼び ~
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