2025.03.04 [ 自然・名水・秘境 ]
250㎞離れた“御嶽山”に会いに~『チバニアン』地層へ~
総務管理・環境課のとうふです。
突然ですが、木曽町の「さとテラス三岳」にこのような展示があるのを御存じですか?
この展示は、木曽町三岳(左側)と千葉県市原市(右側)の2つの露頭の剥ぎ取り標本です。
青い矢印が貼られている白い層は、ともに約77―78万年前の「古期御嶽山」の噴火で飛んだ火山灰の層であり、
この層は千葉県にて、初めて日本の地名が付いた地質時代『チバニアン』の境界層となっているそうです。
(私は素人で説明が下手なので、言葉の意味や詳しい内容はぜひ「さとテラス」へ!)
要するに、『チバニアン』と御嶽山には深いつながりがあるのです。
そんな縁のある『チバニアン』の地層を、一度生で見てみたいと思い・・・
行ってきました。
木曽福島駅から特急を乗り継ぎ東京都へ。さらに在来線を乗り継ぎ千葉県市原市へ入ります。
現地最寄駅の「月崎駅」(小湊鉄道)から歩くこと30分。
「チバニアンビジターセンター」が現れました。長い旅路でした…
センター内には『チバニアン』地層の見所や、この地層が特徴的に示す「地磁気の逆転」に関する解説などが展示されており、スタッフの方が丁寧に説明してくださいました。
ここで見どころを押さえ、持参した長靴に履き替え、いざ露頭へ向かいます。
センターからさらに歩くこと10分ほど。
ついに到着しました!『チバニアン』地層こと「養老川流域田淵の地磁気逆転層」です!
まずは日本唯一のゴールデンスパイク(地質時代の境界層を表す国際的な目印)を拝みましょう。
左下に設置されているのがゴールデンスパイクです。
「Chibanian」(チバニアン)としっかり書いてあります。
設置当時は名前の通り金色に輝いていたそうですが、今では色が黒ずんでしまっています。
スパイク周辺に空いたたくさんの穴は、研究用に地層の土を採取した跡です。
右側に縦一列に打ち込まれているカラフルな杭は、地磁気逆転の状況を示しています。
緑:地磁気の向きが現在と一致
黄:地磁気の向きが不安定
赤:地磁気の向きが現在と反対 だそうです。
さて、ここまでの写真で、地層に一本溝が走っていることにお気づきでしょうか。
ゴールデンスパイクもその溝の上にあります。
これが、御嶽山の火山灰層です!
山から250km先で、地質時代の境界として立派なお役目を果たしていました。
層の厚みは3cmほどですが、説明をしてくださったガイドの方によると、
御嶽山の火山灰層は周辺の泥岩層よりももろく、周りよりも浸食されて溝になっているそうです。
ただ、部分的ではあるものの、さとテラスで見たものに近い白い層も確認できました。
本当にここまで飛んできたんだなぁ…と感動を覚えます。
ほかにも、『チバニアン』地層のある露頭周辺はかつて海底だったため、露頭の脇を流れる養老川の川底には貝の化石や生き物の活動した跡(生痕化石)を見ることができます。
思ったよりもあちこちに、たくさんあり、観察が楽しかったです。
地球の歴史が詰まったとても濃いスポットで、つい1時間近く滞在してしまいました。

中央を流れるのが養老川。左側の崖が『チバニアン』地層のある露頭。
皆さんにも、この記事を通して「火山・御嶽山」の力強さや、木曽地域と千葉県の思わぬつながりを感じていただけたら嬉しいです。
このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら
木曽地域振興局 総務管理・環境課
TEL:0264-25-2211
FAX:0264-23-2583