2015.02.28 [ 歴史・祭・暮らし ]
巣立ちに寄せる想いに 【井月さんのこころ103】
猶恐巣中飢 猶ほ 巣中の飢を 恐れるがごとし
辛勤三十日 辛勤 三十日
母痩雛漸肥 母痩せて 雛 漸(やうや)く 肥ゆ
喃喃敎言語 喃喃(なんなん)として 言語を教え
一一刷毛衣 一一 毛衣を刷(ぬぐ)う
一旦羽翼成 一旦 羽翼 成りて
引上庭樹枝 引いて 庭樹の枝に上る
舉翅不回顧 翅(つばさ)を挙げ 回顧せずして
隨風四散飛 風に隨(したが)ひ 四散して飛ぶ
雌雄空中鳴 雌雄 空中に鳴き
聲盡呼不歸 声尽きるまで 呼べども帰らず
卻入空巣裏 退きて 空巣の裏(うち)に入り
啁啾終夜悲 啁啾(ちょうしゅう)して 終夜悲しむ
燕燕爾勿悲 燕や燕 爾(なんぢ)悲しむ勿(なか)れ
爾當返自思 爾(なんぢ)当(まさ)に 返って自ら思うべし
思爾爲雛日 思へ爾(なんぢ)雛 為(た)りし日
高飛背母時 高飛して 母に背(そむ)きし時を
當時父母念 当時の 父母の念(おもい)
今日爾應知 今日 爾(なんぢ)応(まさ)に知るべし
少し長いので、現代語訳は省略しますが、巣立ちし子に寄せる万感の父母の情を代弁しています。
「春日愚良子句集」から
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