2012.07.31 [ 食・農・旅 ]
旬の農産物情報 「夏秋いちご」
農政課のAです。
今回は上伊那地域でこの時期収穫される旬の農産物のひとつ、「夏秋いちご」のご紹介です。
通常のスーパー等で販売される生食用のいちご(冬春いちご)の旬は冬~春ですが、この「夏秋いちご」は文字通り夏~秋に旬を迎えます。
「冬春いちご」と比べると「夏秋いちご」は酸味が強いことが特徴で、お菓子の甘味とのバランスが良いため、ケーキ等の材料として多く利用されています。また単位面積当たりの収穫量、生産面積ともに少ないため、全国的に収穫量が少なく、高値で取引されるのも特徴です。
いちごは暑さに弱いため、「夏秋いちご」の生産には高い標高の地域が向いており、およそ標高800m以上の地域が生産の適地とされています。
上伊那地域では伊那市高遠町や南箕輪村などを中心におよそ10軒の農家で長野県育成品種を含め、3品種が栽培されており、収穫は6月末から11月ごろまで行われ、これからの季節にそのピークを迎えます。
今回はこのうち伊那市高遠町の3軒の農家にお話を伺いました。
最初にお話を伺ったのは下山田地区の森本いちご園です。
森本さんは数年前に愛知県から高遠町に新規に就農された方で、現在10aほどの面積で「信大BS8-9」という品種を栽培されており、上伊那地域でも大規模ないちご農家のうちの1軒です。
「信大BS8-9」という品種は信州大学で育成された品種で「夏秋いちご」の中では糖度が高めで甘いのが特徴です。
大都市圏での需要が大きいため、主に東京や大阪などの市場へ出荷されており、ケーキ店へ直接出荷しているものもあるとのことでした。出荷先の求める熟度で相手先に届くよう、早朝5時から10時頃、夕方の17時半から19時頃の1日2回の収穫を行い、1日の中でも熟度が刻々と変わるいちごを、追熟具合まで考慮した上で出荷しているとのことでした。
写真は畑の様子。すでに朝の収穫が行われたあとで、赤く色づいたいちごはありませんでしたが、夕方には今は白っぽいいちごが赤く色づき、再度収穫するとのことでした。
写真は収穫したいちご。左と右では出荷先が異なり、相手先に届くまでの時間、求める熟度を考慮の上、異なる熟度で収穫するため、色が異なっています。
次に藤沢地区の藤沢さんにお話を伺いました。
藤沢さんは北海道の企業で育成された「すずあかね」という品種と、長野県南信農業試験場で育成された「サマープリンセス」という品種を栽培されています。「すずあかね」は比較的大きな実がなり収穫量が多いのが特徴で、「サマープリンセス」は色つや等の外観がよいことが特徴の品種です。主にJAを通して出荷されているとのことでした。
写真は畑の様子
写真上が「すずあかね」、下が「サマープリンセス」。
「すずあかね」を主に栽培され、今年は収穫量は多いとのことでした。
最後にお話を伺ったのは同じく藤沢地区の北原さんです。
北原さんの畑では今年の春の強風でハウスが飛ばされるという被害を受けられ、なんとか建て直して収穫を迎えられたとのことでした。北原さんは「すずあかね」を栽培されており、主にJAを通して出荷するほか、規格外品は畑に併設された直売コーナーで直売しておられました。
写真は畑の様子。
写真は直売所の様子。冷蔵庫にいれて販売されており、300g以上のパック2つで500円というとてもお得な価格で販売されていました。一つ味見させていただきましたが、甘酸っぱいとてもおいしいいちごでした。
このほかにも何軒かの農家で栽培され、上伊那地域内でも販売されているので、これからの季節、上伊那にお越しの際には、旬を迎える「夏秋いちご」をぜひご賞味ください。
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