2024.09.10 [ その他南信州の伝統・文化・史跡 ]
下伊那農業高校生徒による「伊賀良井」見学に参加しました!
農地整備課のSです。
9月6日(金)、下伊那農業高校の生徒による「伊賀良井(いがらい)」見学が行われました。
伊賀良井は飯田市鼎の妙琴浄水場付近で松川から取水し、北方、下殿岡、駄科などを経て時又で天竜川に流入する、延長約9kmの農業用水路です。
伊賀良井の開削には諸説ありますが、平安末期に当地域を治めていた豪族が水田用水や生活用水を松川から引き込んだのがその始めともいわれています。
現在は約230haの田畑に農業用水を供給しています。
見学会は、同校農業機械科の「水循環」に係る学びの一環として行われました。
用水管理組合の代表者及び井守※さんから、伊賀良井の概要や歴史、普段の管理についてお話を伺います。
特に伊賀良井では松川から流入する砂の除去が重要な作業となるそうです。
※井守(いもり):水路の分水ゲート等を操作する役割の人。他の人はゲート操作できない。
妙琴公園キャンプ場のすぐ下流側にある頭首工・取水ゲートです。
電動化により昔よりは労力軽減が図られていますが大雨やダムの放流のたびに閉める操作が必要です。
流木等が詰まって、うまく閉まらないことも・・・。
ゲートの扉は道からは見えないので、覗き込んで扉が動く様子を観察する生徒たち。
頭首工・取水ゲートから80mほど下流に設置された小水力発電施設です。
用水管理組合と株式会社マルヒ(飯田市)とが協力して、令和元年から発電を開始しています。マルヒの担当者の方から、小水力発電の概要・仕組みを説明していただきました。
この施設では通年にわたって最大2.2kWの発電が可能で、全量電力会社へ売電されます。発電量は4人家庭・3~4軒分に相当するとのことです。
売電収入の一部は、伊賀良井やその周辺の環境整備費用に充てられるほか、「魚のつかみ取り体験」といった地元の保育園との交流会などにも活用されているようです。
水路の落差工に設置された水車が勢いよく回る様子が確認できました。
こちらは豪雨により水路から水が溢れる危険が生じた際、流水を交差する河川(水路の下側)に放出する施設です。水位の上昇をフロートが感知して、ゲートが転倒することにより、余水と土砂を排出します。
伊賀良井の「井守」さんに、ゲートが転倒して用水が勢いよく河川へ流れ出る様子を見せていただきました。
こちらの親水公園、実は伊賀良井の沈砂池として整備されました。土砂がたまると、重機を使って取り除きます。
現在は一部でアシなどが生い茂り、カモやサギなどが羽を休めるビオトープとなっており、近所の保育園児たちがお散歩に訪れます。
この親水公園(沈砂池)は、最初に見学した頭首工・取水ゲートと合わせて、平成20年ころに県営事業で整備したものです。
完成直後の写真と比べると、ずいぶん様子が変わっています。
最後に、アップルロードを横断した先にある土砂吐き施設「迯場(はずしば)」の見学です。
毛賀沢川と立体交差しており、水路内に溜まった土砂をゲート操作により川へ落とします。昔は「木樋」、「石樋」で川の上を横断させていたとのこと。現在は鉄筋コンクリートの水路と電動のゲートが整備されています。
豪雨時に水路が溢れないよう、ゲート操作するのも「井守」さんの役割です。近年は突発的な豪雨が頻発するため、防災の観点からもその役割は重要です。
地域の農業を支える農業用水について、その時々の農家によって改修・管理がなされてきた歴史を学ぶことができました。
また、利水だけでなく、治水の観点からも管理に苦労されていることも知ることができ、充実した見学会となりました。
これから収穫の秋を迎えます。農家の皆さんや施設を管理している方々に感謝しつつ、おいしいお米をたくさんいただきたいですね。
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