2017.03.02 [けもかわプロジェクト 代表 井野春香さん]
女猟師×皮革活用 vol.2
2013年、泰阜村の地域おこし協力隊となり、「けもかわプロジェクト」をスタートさせた井野さん。時間をかけて、徐々に活動の幅を広げていきました。
大切な動物の命を、捨てずに活用するために
- プロジェクトは、シカの「肉」ではなく、「皮」の活用なんですよね。
私が協力隊になった当時、県内には10カ所くらい処理施設がありました。そのほとんどが南信州で、肉を扱う店も多かった。競合するのは良くないと思ったので、肉ではなく、皮を利用する方法を考えました。
- 実際にはどんな活動を?
1年目は、情報収集とつながりをつくるように努めました。「信州ジビエ研究会」や「日本ジビエ振興協議会」が立ち上がったこともあり、いろいろな団体に所属したり、全国各地のイベントに行ったりしました。2年目から本格的に、革製品を作っていくようになりました。
- どういったものを?
ストラップなどの小物類が中心です。駒ヶ根で革を使って創作活動をしている人が声を掛けてくれて、ベビーシューズやスリッパなども作ってもらいました。昨年は、障がい福祉サービス事業所に製作をお願いして、県職員用の名札ケースも手掛けました。
県職員用の名札ケース
- 鹿革は、ほかの動物と比べてどんな特徴があるんですか?
鹿革は毛穴がきめ細かくて、割と柔らかく、吸水性も高いです。牛革と比べると、厚みも違います。もちろん、牛革も薄くはできるんですが、鹿革はもともと薄いので。素材としてはすごく良いものなので、分かっている人は鹿革を喜んでくれますね。
- 加工しやすい素材なんですか?
それは作るものにもよります。例えば財布となると、形をキープできるくらいには芯となるものがあったほうがいい。鹿革は1枚だと布みたいな感じなので、柔らかさが出るようなものが向いています。袋物のバッグとか、財布でも折り畳みの柔らかいものとか。
- 製品を作り始めて、反応はありましたか?
「皮を活用しようと思わなかった」「そういう発想はなかった」と言われたのは印象的でした。プロジェクトを続けるうちに、全国的に見ても活用しているところが増えてきているような流れはあります。でも、どうしても元手かかかることではあるので、その辺は難しいですね。
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