2017.02.24 [けもかわプロジェクト 代表 井野春香さん]
女猟師×皮革活用 vol.1
「シカが増えすぎて山が荒れている」という話を、耳にしたことがあるでしょうか?ニホンジカをはじめとする野生鳥獣による県の農林業被害額は、年間約9億7千万円(平成27年度)。捕獲されるニホンジカの頭数は年間4万頭近くに達しています。
捕獲後にジビエとして活用するケースも増えてきましたが、需要と供給のバランスが取れず、大半が埋められてしまうという現状があります。そんな中、「獣の命を大事にしたい」とスタートしたのが「けもかわプロジェクト」。代表の井野春香さんにお話を伺いました。
野生動物や猟師のことを多くの人に伝えたい
- プロジェクトを立ち上げたのはいつですか?
泰阜村の地域おこし協力隊をしていた、2013年です。3年間の協力隊の任期の後、2016年4月からは個人事業として続けています。
- 井野さんはもともと、泰阜村に?
2010年、大学を卒業して、自然体験教育プログラムなど実施している「NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター」に就職するために来ました。大学ではシカの研究をしていたので、就職もシカや狩猟のことを伝えられる仕事をしたいと思っていました。そうなると、野生動物保護管理官(レンジャー)になるか研究職か…でも、保護や研究と、自分がやりたいことはちょっと違う気がして。なんとなく調べるうちに、グリーンウッドのことを知って、楽しそうだと思って応募したら採用されました。
- 動物は、昔から好きだったんですか?
子どものころから好きでしたね。高校も、動物や畜産の勉強をしたいと思って、地元・熊本の農業高校へ進学しました。高校では、シカやイノシシなど野生動物を飼っていたんですが、3年生のときに友人と一緒にシカを育てるプロジェクトに取り組んだんです。子ジカのころからヤギのミルクをあげたり、夜は寮に連れて帰って一緒に寝たり、世話をしていました。
- シカって、懐くんですか?
懐きます。小さいころから育てると、覚えてはくれますね。それでもう、めちゃくちゃかわいくて。
- それがきっかけで、シカの研究を。
大学は有害鳥獣や森林のことを学びたいと思って、島根大学へ進みました。学生時代に山へも入るようになりました。有害鳥獣の調査をしている県の機関があり、駆除した動物の体重や歯、内臓などのデータを取るアルバイトがあったんです。そこで猟師の皆さんと出会いました。年を取ったおじいちゃんたちが、鉄砲を担いで山の中をキビキビ歩いて、捕獲したものを分け合って食べて。山のことを何でも知っていて、命への感謝も忘れない。猟師の世界をかっこいいと思ったし、興味を持ちました。
- じゃあ、就職するまで、長野に来たことは?
なかったです。でも山もあるし、古くからジビエもあるし、ちょうどいいなと思いました。熊本にいたときは、祖母の家が阿蘇の方にありましたが、シカよりイノシシが多くて。島根は結構シカがたくさんいましたね。
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