2016.03.14 [株式会社ヤマテン 代表取締役 猪熊隆之さん]
山×気象予報士 vol.1
地元の山、北横岳山頂にて
国内初の山岳気象専門会社「ヤマテン」を立ち上げた猪熊隆之さんは、ウェブサイト「山の天気予報」の運営をはじめ、世界の山岳気象の配信、気象講習会の開催など多岐に渡る活動を行っています。
「山の天気は変わりやすい」と言いますが、それにまつわる天気の話を伺っているうちに、途中から猪熊さんの壮絶な人生に圧倒されることになりました。
大学の山岳部で過ごした時間が、山にのめり込むきっかけに
- 「山の天気予報」では、どのような予報を出しているんですか?
全国18山域、59山の天気予報を配信しています。翌日と翌々日分、6時間ごとに天気、気温、風向・風速を出しています。あと、気象遭難のリスクが高いときに発表する大荒れ情報や現在の山の天気を確認できるライブカメラ、各種予想天気図、発雷予想確率、ヤマレコの記録など色々な情報をご覧いただけます。また、このサービスの他にも旅行会社、山小屋、山岳交通機関、スキー場などに気象情報を配信しています。
- そもそも、どうして山の天気は変わりやすいのでしょう?
平地では低気圧や前線など、大気が大きく乱れるときに上昇気流が起きますが、山ではそれがなくても簡単に上昇気流が起きます。風が山にぶつかるだけで、上昇気流になって、雲ができる。そこに水蒸気があれば、雲はどんどん成長していきます。平地は広がっているので、湿った空気は一方向から入ってきますが、山は谷や尾根があって入り組んでいる分、湿った空気が入るところと入らないところがあるので。場所によって全然天気が違うこともよくありますし、麓は曇っているのに山頂は晴れているということもありますよね。
八方尾根に咲くシモツケソウ
燕山荘からの樹氷に輝く合戦尾根
- 予報を出すのも難しいのでしょうか。
山の気象予報は、コンピューターではダメで、ちゃんと気象予報士が出さないといけないんですよ。やっぱり山のことを分かっていないと難しいと思います。
- 猪熊さんが山を登るようになったのはいつごろからなんですか?
本格的に始めたのは大学で山岳部に入ってからです。それまで特にスポーツをしていたわけでもなかったので、最初の合宿はとにかく辛かったですね。荷物が40キロくらいあって、それはたいして重くはないんですけど、当時、私の体重が45キロくらいだったので…。体力もないし、山の中で生活することにも不慣れでしたから。
- なぜ、山岳部に入ったんですか?
何となく、このまま大人になったらまずいな、精神的にも肉体的にも、少しは鍛えないといけないなという気持ちがあったんです。それで入部したんですが、最初は周りに迷惑をかけるばかりでした。「今日は辞めるって言おう」って何度も思いましたよ。
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