2016.10.31 [横手山頂ヒュッテ 高相重信さん]
雲の上のパン屋×ヒュッテオーナー×山 vol.3
高相さんのスキーや写真の腕前は、“趣味”という言葉では足りないほど。それ以外にも、長年、山で暮らしているからこそ感じること、やってきたこと、やらなければいけないと思っていることもたくさんあるようです。
“緑の病院”-山で癒され、山で学ぶ
- 今は、ヒュッテは家族で運営されていらっしゃるんですか?
基本、家族でやっていますが、シーズン中などは長期でアルバイトをしてくれる人もいます。都会で疲れた人たちにとって、山は「緑の病院」。空気はいいし、景色を眺めていれば目も良くなるし、ストレス解消もできる。山で「ヤッホー」って、叫ぶでしょう?あれはどうしてか知ってますか?
- えっ…どうしてですか?
苦労して汗かいて、自分の足で登ってきた感動の証拠なんです。「俺は登ったぞ!」という雄叫びみたいなものですね。それと同時に、高山病の予防にもなります。黙ってじっと登っていると良くない。山で「こんにちは」って挨拶するのも、声を出すので良いことなんですよ。
- 気分だけではなく、体にとってもいいことなんですね。
3歳から5歳くらいまでの小さい子どもも、もっと山で遊んでほしいですね。危ないとか、汚いとか、虫に刺されるとか、そんなこと言ってばかりだと子どもたちは冒険したくてもできないですから。子どもは好奇心の塊。草も花も昆虫も、「あれは何?これは何?」って楽しいはずです。
- 大人に対しては、どうでしょう?
例えば山に入るときは、用心深くスケジュールを立てるとか、下見をきちんとするとか。ちゃんと備えた上で、それでも万が一の場合は協力して助けてほしいって、登山届を出すとか。そういうのはマナーみたいなもので、そこをしっかり認識しておかないと、いつまでたっても事故はなくならない。「勝手に行っても、別にいいだろ」では、良くなってはいかないです。
- そういう意識は大切ですね。
山小屋の親父なんて、「なんだ、今ごろ来たって花も終わっちゃったじゃねぇか。もっと早く来なきゃ」「ほら危ねぇぞ、足元気を付けろ」って言ってるのが仕事。そのときに「じゃあ今度、いつ来たらいいかな」って聞けば、「この時期はこれがきれいだし、もうしばらくしたらあの辺りもいいよ」と教えてくれます。それが地元の人の役目ですから。
- そういうコミュニケーションも、山小屋では楽しいですよね。
今は、パソコンで何でも見られる時代だから、「(パソコンで見た)写真と全然違うじゃないか」って怒る人もいますけど。だったらわざわざ山に来なくてもパソコンで見てれば楽だし、ずっといいじゃない。
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