2016.10.17 [横手山頂ヒュッテ 高相重信さん]
雲の上のパン屋×ヒュッテオーナー×山 vol.2
横手山頂ヒュッテからの眺望は素晴らしく、天気が良ければ富士山や日本海、佐渡島まで見渡すことができます。スキー客の避難小屋としてオープンしたのは、1952(昭和27)年のことでした。
地元の人だからこそ、山を守り、考える
中央が横手山、その頂上に横手山頂ヒュッテがある
- そもそも、この場所に山小屋を作ろうと思ったのは?
戦後、山頂に電電公社、今のNTTが無線中継所を作る工事を始めました。父がそこで、物資輸送の責任者として仕事をしていました。当時、比較的裕福な人たちが観光で来ていて、山頂まで登って、「(電電公社の)休憩所で休ませてほしい」って言うんです。でも、そういうふうに使うのも良くないってことで、作ったのが避難小屋です。私が小学校5、6年生くらいのときでした。
- それが出発点だったんですね。
小屋を作った翌年には、遭難事故の救助を体験しています。当時、志賀高原ではゲレンデスキーよりも万座や草津へのツアースキーが主流でした。予約したお客さんを地元の人が案内していたんです。草津にお客さんを送っていった帰りに遭難するということもありました。
- そういうこともあって、救助隊にもずっと携わっていらっしゃるんですね。
立ち上げの段階から関わっています。場所柄、そんなの知らないよとも言えないし、地元の人たちからすると「明日は我が身」という感覚もありました。いかに山を安全に守るか。我々がやらないと、お客さんが来てもかわいそうというか…遭難して、いまだに見つかっていない人が何人もいるわけですから。
- 山の中のことは、地元の人だからこそ分かる部分も多そうです。
ある地点にいたことが確認できて、その先が分からないときに、本来のルートはこっちだけど間違って行くならこっちだろうということは予測できるんです。我々は、山中で迷いやすいところを知っているので。人間、道に迷ったときにはなるべく歩きやすいところを歩こうとする。それで動物の通り道、いわゆる獣道を歩いてしまうんですよ。
- 今年は、熊の被害もよく聞きます。
熊もたまに遊びに来るけど、我々に危害を与えることは過去に一度もないし、実際に出くわしたこともありません。でも、遠くに熊がいるってことは分かる。野生動物の独特なにおいがしてくるんです。山の人間は、野性的本能というのか、そういうところは人一倍敏感なんです。
- 今は、シーズン中はずっと山小屋に?
1年の3分の2はここにいます。まあ、現住所もここなので(笑)。
このブログへの取材依頼や情報提供、ご意見・ご要望はこちら
営業局
TEL:026-235-7249
FAX:026-235-7496