2016.10.05 [横手山頂ヒュッテ 高相重信さん]
雲の上のパン屋×ヒュッテオーナー×山 vol.1
日本で一番高いところにあるパン屋さんを知っていますか?
志賀高原・横手山の「横手山頂ヒュッテ」にある「日本一高いところの雲の上のパン屋さん」。数多くのメディアで紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれません。
横手山は標高2,307メートル。その山頂から10分ほど歩いたところにある同ヒュッテ。
「なぜこんな場所でパン屋さんを始めたのか知りたい」と思って尋ねると、迎えてくれたのは同ヒュッテの二代目・高相重信さんでした。
納得いくものができるまで、10年かかった
- パンのいい香りがしますね。
普段は朝、9時半ごろから販売してます。今は、息子と嫁さんが作っていて、お客さんが多いときは、午前中も焼いています。
- どうしてここでパン屋さんを?
うちの女房が神戸出身なんです。もともと、我々のような山をやる連中はパンじゃなくて米。2杯も3杯もご飯を食べて、山を歩いて。山へ行っても、飯盒でご飯を炊いたり、インスタントラーメンを作ったりするでしょう?だから、パンというと間食みたいなものでした。
- 主食というより、おやつという感じですね。
でも、お客さんはパンを持ってきていました。コッペパンとかフランスパンとか日持ちするものなんですが、それを見ていたらパンもいいな…と。でも、毎日下から歩荷してくるわけにもいかないし、山小屋で餅つきはやるから、パンを焼くのも悪くはないかって始めたんですが、これが結構大変でした。思ったようなパンになるまでは10年かかりました。
- 10年も…!
始めたのは昭和40年代。最初は普通のガスオーブンで焼いていましたが、熱の回りがうまくいかなくて乾パンみたいになったり、発酵させるのも思い通りにならなかったり。
- 標高が高いと、勝手が違うんですね…。
それでいろいろ工夫しました。写真を撮っていたので現像機を持っていたんですが、それをいつも温めておかなきゃいけない。そこから思いついて、中に水を入れて蒸気を出せば、ちょうどいいんじゃないかって。それを小さいオーブンで焼くようにしたら、徐々にパンらしくなってきました。
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