自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

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神坂峠~冬の魅力~

南信州の阿智村と岐阜県中津川市との境、恵那山(標高2191m)に続く山稜の鞍部に、標高1569mの神坂峠(みさかとうげ)という名の峠があります。3月半ばの寒い日、古代史と深い関わりのあるこの場所を訪ねました。

古代の人たちが近江の国を起点に東国に向かった幹線道は、「東への山の道」として東山道(とうさんどう)と呼ばれています。ここはかつての東山道が通った場所であると同時に、道中最大の難所として有名でした。

ここを通った万葉びとの

 ~ちはやぶる 神の御坂に幣(ぬさ)奉り いわふ命は母父のため~ 万葉集(巻20)防人

の歌からも、命がけで峠越えをした当時の様子がしのばれます。
なぜ難所であったかといえば、ここが三河準平原から続くなだらかな山々の東の端にあたり、ちょうどこの付近から信州の険しい大起伏山地に分け入るからに他なりません。

ここは日本列島の地形的な変換点であり、信濃の国の南の玄関口として国指定の史跡にもなっている由緒ある峠です。しかし、残念なことに現在長野県側から峠に通じる一般の車道がありません。もちろん冬は山道も雪に閉ざされます。通常の峠への行き方は、以下の4通りくらいが考えられます。

① 岐阜県側から車でつづら折れの道を行く(春から秋)
② 阿智村の麓から山道を何時間もかけて歩いて行く(春から秋)
③ スキー場のゴンドラ終点から富士見台高原往復のバスに乗る(春から秋)
④ スキー場のゴンドラ終点から展望台リフトを使い、林道を歩いて行く
ということになります。またそれらとは別に、冬だけの特別な行き方もあります。

④と同じようにスキー場のゴンドラ終点からスキーリフトに乗車すると、降り立った所はもう標高1600m地点です。峠との標高差がほとんどないので、雪に埋もれた約4Kmの林道をほぼ等高線沿いに歩いて行くことができます。防寒対策をしっかりすればスノーシュー(かんじき)でもよいし、クロスカントリー用の歩くスキーでも行けるでしょう。この日は、底面に刻みをつけたテレマークスキーをはいて、片道40分くらいで峠に着くことができました。

峠越えの古代びとの苦労を思うと申し訳ないような行程ですが、ゴンドラやリフト、スキー等を利用して、スノーハイクをかねて雪に閉ざされた峠をたずねるというのも、信州ならではの冬の楽しみです。この日は途中で吹雪に見舞われましたが、峠に着いたところではお日様が迎えてくれました。

     ~ 神の坂 雪の白さに 空の青 ~

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