2011.06.23 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
入笠山(列島の東西が出会う場所)
富士見町の西に入笠山があります。
入笠山は山頂の展望がよいことや、花や湿原の散策が楽しめることでよく知られています。でも、ここが日本列島の東西が出会う特別の場所であるということはあまり知られていません。
山頂に着くとまず目を引くのが真正面にある八ヶ岳の偉容ではないでしょうか。八ヶ岳は列をなして現在もなお活動を続ける火山の群れです。
つぎに、山を眺めている自分の足元に注目です。
中が緑色がかったとても堅い石が露出しています。入笠山をつくる岩石は、かつて秩父古生層と呼ばれた岩石の一部ですが、現在それらの多くが中生代に形成された地質体であることがわかっています。この緑色の石は、遠洋の海底火山活動によってできた火山岩の一部です。同じ火山由来ではありますが、八ヶ岳をつくったのは数十万年前から現在に至るごく新しい陸上噴火です。一方入笠山の山頂の岩石は2億年くらい前の大洋の海底噴火がもたらしたものです。この全く環境の違う場所で生まれた両者が出会うには、数億年をかけた日本列島誕生のドラマがありました。
現在、この両者の境界になっているのが糸魚川-静岡構造線という大きな断層です。断層は八ヶ岳の手前の谷沿いを南北に通り、列島を東西に二分しています。これよりも西側は西南日本の古い地質となり、東側はフォッサマグナと呼ばれる新しい地質が広がる地域です。北アルプス、中央アルプス、南アルプスは西側の山々、富士山や八ヶ岳や霧ヶ峰などは東側の山々の代表です。ここに立ち、ぐるりと山々を眺め、足元の石にさわってみれば、億年にわたる日本列島の歴史が実感できます。
今の季節、入笠湿原は初夏の花が見頃です。もちろんそちらもご堪能あれ
~ くすくすと すずらん笑ふ 山の風 ~
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