2011.06.21 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
逆谷地湿原(不思議な湿原にようこそ)
長野市と飯綱町の境、飯綱高原の一角に不思議な湿原があります。その名は「逆谷地(さかさやち)湿原」。湿原といえば尾瀬ヶ原(760ヘクタール)や釧路湿原(3万ヘクタール)が有名ですが、この湿原はわずか4ヘクタールの広さです。ただし、厚さ13mにも及ぶ泥炭(でいたん)の堆積が、この湿原の歴史の古さを物語っています。
尾瀬ヶ原の湿原の年齢は約9000年、釧路湿原は約3000年と考えられていますが、逆谷地湿原の年齢は10万年にも達します。10万年の間には氷河期をはさんだ地球規模の気候変動や、高原一帯ですすんだ古代の森林破壊の歴史があり、厚い泥炭層の中にそれらの記録がはっきりと残されています。6月中旬に、この湿原で自然ふれあい講座を開催しました。テーマは「自然史王国信州を歩く~湿原の自然編~」です。
小さな湿原に秘められた大きな自然の歴史(自然史)を知ると、湿原の見え方も変わってきます。自然の歴史に焦点をあて、それを信州らしいエコツーリズムの展開に役立てたいと思います。ここは2000年に県の自然環境保全地域に指定されましたが、まだ多くの人には知られていません。
ミズゴケに覆われた湿原の背後には飯縄山がそびえ、ただエゾハルゼミの声だけが満ちていました。
~ ハルゼミの中にぽっかりくもり空 ~
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