来て!観て!松本『彩』発見 歴史と伝統の城下町松本。のどかな田園風景安曇野。そびえたつ雄大なアルプス。自然と文化に彩られたまつもと地域の情報を、松本地域の県職員の発見を織り交ぜつつお届けします。 面白いこと新発見、知ってる人にも再発見、何だこれはの珍発見。当たり前だと思っていたことから、ローカルなことまで職員の発信する情報をお楽しみください。

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世界遺産候補!?「牛伏川フランス式階段工」

皆さんこんにちは。松本建設事務所のTです。

みなさんは松本にいつか「世界遺産」になるかもしれない場所があるのをご存じですか?その名も「牛伏川フランス式階段工」。
松本市内田の牛伏川(うしぶせがわ)にあり、今年で竣工されて100年を迎えました。

今回はこの「牛伏川フランス式階段工」の魅力をご紹介します。

 

【魅力その①】土砂災害を食い止める巨大な施設

牛伏川は傾斜が急で険しい地形のため土砂の流出が多く、江戸時代より土砂災害がたびたび発生していました。被害は松本市や長野県だけでなく新潟港にまで拡大し、土砂堆積による河川や港の閉塞が問題に…。その災害を食い止めるため1885年に砂防工事に着工し、1918年に一連の砂防工事が完了しました。

工事の内容は

①山の斜面に木を植えて山の崩壊を防ぐ

    ②砂防ダムを造り、下流へ土砂が流れるのを防ぐ

      ③階段工により、川の勾配を緩めて河床の浸食を防ぐ

                                というもの。

 今と違ってクレーンやトラックなどない時代。多くの人力で成し遂げられた大規模な工事なのが分かります。この階段工には大きな特徴があるんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この階段工は19段の段差(長さ141m、落差23m)が配置され、そこに水が流れ落ち、水の勢いを弱めて河床の浸食を防ぐことができます。この工事の際、フランスのサニエル渓谷の階段式を参考にしたため「フランス式」と言われるようになりました。

またこの工事は「空石積み」といわれる日本の伝統的な手法が使われています。
これはコンクリートを一切使わず石だけで建造物を積み上げる技法で、石同士ががっちりと組み合うようになっています。

そんな建造物が現在でも同じ姿なのは驚きですね!!

また当時山の崩壊を防ぐためにニセアカシアという木を植えました。
成長が早い分、根が浅く倒れやすかったため、かねてから斜面の崩壊が懸念されてきました。このため、松本建設事務所ではニセアカシアから根がしっかりと張る「広葉樹」(コナラなど)に植え替える事業を行っています。後世に階段工を残していくために、きちんと防災管理の努力がされているんですね。

 

 

【魅力その②】重要文化財に指定! …いずれは世界遺産に?

牛伏川フランス式階段工は、2012年に

「石積みの希少な砂防施設であり、自然と調和した美しい施設で歴史的な価値がある物」

として国の重要文化財に指定されました。もしかしたら将来は世界遺産に指定されるかも!?

 

魅力その③】自然とマッチした美しい景観

魅力その②でも触れましたが、自然の中に造られた階段工は、空石積みの技法と周辺の自然と相まってとても美しい景観を造り出しています。下流の階段工は水遊びの場になっていたり、階段工の周りを散策できたりと市民の憩いの場になっています。新緑の季節はもちろん、四季を感じる為に階段工を訪れるのもいいかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたか? 牛伏川フランス式階段工の魅力が少しでも伝わったら幸いです。

訪れてみた方、感想をぜひお待ちしております♪

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