2015.07.07 [ 文化・伝統 ]
「拾ヶ堰」が世界かんがい施設遺産の候補になりました
農業用かんがい施設の世界遺産登録とも言える、国際かんがい排水委員会(ICID)における、日本の平成27年度かんがい施設遺産候補として、松本市から安曇野市を流れる「拾ヶ堰(じっかせぎ)」が他の国内10施設と共になることが決定しました。
かんがい施設遺産とは、かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資するために、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が認定・登録する制度であり、いわば農業用水路の世界遺産とも言えるものです。
登録に関しては、建設から100年以上が経過していることや、建設当時の技術が当時とすれば先進的かつ驚異的なものであることなど、厳しい条件がありますが、安曇野を代表する「拾ヶ堰」はそれにふさわしいものとして、今回日本代表として認められたものです。
改修前の拾ヶ堰
ここで「拾ヶ堰」についての説明です。
完成したのは1816年で、来年で建設後ちょうど200年になります。当時水不足で充分なお米が作れなかった安曇野の10の村が団結して、当時の松本藩に用水路開削の願いを立て、建設したものです。
当時暴れ川でなおかつ夏場には水がほとんど枯れてしまう「梓川」からでなく、その先の「奈良井川」から取水し、長さ15Kmもの用水路が冬場のわずか3ヶ月という短期間で、現在の技術をもっても信じられない大工事を農民の熱意で完成させたものです。
そのために用水を「梓川」を横断させる「川越し」や36箇所ものそれまであった古い用水路との立体交差など、当時の最先端の土木技術が取り入れられています。
現在は「拾ヶ堰」土地改良区の皆さまが大切に用水路を管理し、約1,000haの農地に水を供給し、地域の農業生産の「要」になっていると共に、安曇野の美しい景観を作り出す役目も担っています。
近年では、安曇野市内の小学生が社会科教育の一環として、地域の財産である「拾ヶ堰」を学習し、将来用水路を守り伝えていく役割を期待されています。
このような活動も世界かんがい施設遺産登録の候補になれた一因ではないかと思います。今後秋にフランスで開かれる国際委員会の場で審査されますが、是非とも日本代表から世界の遺産として登録されることを期待しています。
なお、詳細は農林水産省のホームページに掲載されています。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/kaigai/150625.html
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