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<VOL.199>四季彩だより ~信濃の国から~

山里に受け継がれる農村文化 ~大鹿歌舞伎~(大鹿村))

朝晩の寒さと日中の暑さ・・・寒暖の差に身体もついていくのがやっとと言っている間に、周囲は一挙に秋に包まれ始め、どこからともなく秋風に乗って、秋祭りの祭り囃子が聞こえてくる季節となりました。
今回は、映画で一躍有名にもなった、静かな山里に江戸時代から受け継がれてきた「大鹿歌舞伎」のご紹介です。


長野県南部、伊那谷に位置する大鹿村は、日本の原風景が残る静かな山里の村で、平安時代から荘園として開発され、大河原鹿塩(おおかわらかしお)という所領の名で「吾妻鏡」(あずまかがみ)にも登場しています。
   
伊那谷は、民俗芸能の宝庫と言われるほど多くの祭りや歌舞伎・人形芝居などが盛んな地域です。
このような土地柄の中で受け継がれてきたのが、大鹿歌舞伎です。

大鹿歌舞伎は、300余年前から大鹿村の各集落で“神社の前宮”などの名で芝居専用の舞台が建てられ、上演されてきました。

江戸時代から明治時代にかけては、幕府や政府から歌舞伎の上演が禁止されたにもかかわらず、その弾圧をかいくぐりながら村人の暮らしの大事な核として脈々と受け継がれてきました。

幕末から明治にかけては、村内には13か所の芝居専用の舞台がありましたが、今では7か所の舞台が残るのみとなっています。

現在は、大磧神社(たいせきじんじゃ)と市場神社の2か所の舞台で、春と秋に定期公演が行われています。

上演演目は30演目以上にのぼり、役者だけではなく、太夫(浄瑠璃弾き語り)をはじめ、裏方まですべて村民で行われています。
演目の中でも『六千両後日之文章 重忠館の段』は、大鹿村のみに伝わる演目です。

春と秋の定期公演は、山里の大自然に包まれ、解放された空間の中、古来の観劇スタイルそのままに、境内にゴザを敷き、ご馳走を食べ、酒を酌み交わしながら楽しむことができます。

大見得(おおみえ)を切る場面や力のこもった所作が続くと、声援にも思わず力が入り、たくさんの“おひねり”が宙を舞い、舞台と客席が一体となり、地芝居のなんともいえない魅力に包まれていきます。

昭和52(1977)年に長野県無形民俗文化財、平成8(1996)年に国の選択無形民俗文化財にそれぞれ指定されるとともに、平成12(2000)年には、地芝居としては初めて、国立文楽劇場での上演を行い、地芝居の素朴さが多くの歌舞伎ファンを魅了しました。

また、昨年には、故原田芳雄さん主演で『大鹿村騒動記』が映画化され、大鹿歌舞伎は一躍全国から注目を集めることとなりました。

この映画は、主演を務めた原田さんが平成20(2008)年に出演したNHKドラマ『おシャシャのシャン!』の収録で大鹿村を初めて訪れた際、村人との交流を通じて、村人の生活や思いに触れ、「自らの原点を確認するためにどうしてもやっておきたい」と切望してできたそうです。

この映画の公開3日後に原田さんが亡くなられたため、本作が彼の遺作となりました。

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