2010.12.22 [■アレ☆これ☆信州]
Vol117■とく☆とく信州 稲核菜
“信州の漬物”といえば、まず「野沢菜漬け」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実は、信州には「野沢菜」の他に、「羽広菜(はびろな)」、「稲核菜(いねこきな)」という漬け菜があり、昭和の初め頃には長野県の三大漬け菜と呼ばれていました。いずれも「信州の伝統野菜」ですが、今回はその中から、長野県の中部に位置する松本市で栽培されている「稲核菜」をご紹介します。
300年ほど前の江戸時代に飛騨地方(岐阜県)から伝播したと言われる稲核菜は、松本市街地から上高地方面へ続く国道158号沿いの山あいにある安曇地区稲核集落で栽培されています。
野沢菜に比べて草丈が短く、カブは大きめ。繊維質が多く野沢菜に比べると歯ごたえがあり、かめばかむほど味が出る風味豊かな漬け菜です。カブの方は肉質が柔らかく、これも漬物にするととても美味しいんですよ。
でも稲核菜の生産量は少なく、“まぼろしの味”とも言われているんです。
原種を守っているのは、わずか2軒の農家。雑交配を避けるため、わざわざ集落から離れた場所で採種のための稲核菜を栽培しています。
その場所というのは、集落のはずれから車1台がやっと通れるような山道をしばらく登ったところにある、山を切り開いて作られた畑。猫の額のような狭い畑に、猿やイノシシに荒らされないようパイプでしっかりと骨組みを作って周囲を網で囲い、その“ハウス”の中で栽培しています。とても骨の折れることですが、稲核菜の原種はこのようにして大切に守られ続けているんです。
稲核集落には、山肌から吹き出す冷気を活用した「風穴(ふうけつ)」と呼ばれるこの地域特有の“天然冷蔵庫”があり、稲核菜の漬物はここで保存されます。この「風穴」のおかげで、漬物は長期にわたって豊かな風味を保つことができるのです。
☆「風穴」についてはこちらもどうぞ。週刊信州Vol.56とくとく信州(パソコン・携帯兼用)
春が近づき暖かくなってくる頃、稲核菜の漬物は熟成され、ほのかに酸味が加わってきます。これを刻んでしょうゆやみそで甘辛の炒め煮にすると、ご飯のおかずにしても、おやきの具にしても、とても美味しくいただけます。
稲核菜の漬物等は、国道158号沿いの道の駅「風穴の里」で購入することができます。
皆さんも、ぜひ一度ご賞味ください。
☆「稲核菜」についてはこちらもどうぞ 長野県魅力発信ブログ「信州を食べよう」(パソコン・携帯兼用)
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