楽園信州

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<VOL.226>I♥信州(あいラブしんしゅう)

定期刊行物の発行などで門前の魅力を発信してきたナノグラフィカが、何故「空き家」「門前暮らし」につながっていったのでしょうか。

門前の文化を広める活動を続けるナノグラフィカの取り組みのひとつに「門前暮らしのすすめ」があります。

この取り組みが始まったのが2009年8月。
同じ長野市にある城山公民館の、長野県の「ふるさと雇用再生特別基金事業」(門前町再発見事業)の公募プロポーザルに参加したことがきっかけです。


増澤さん:「これまでに音楽とか展覧会とかフリーペーパーとか、自分達が面白いと思うことを、思いのまま形にしてきたのですが、それらは「暮らし」というキーワードでまとめられるんじゃないか、そうすると私達の活動の意味が通るし、他の人にもわかりやすく伝えられるんじゃないか、と思ったんです。
それで『門前暮らしのすすめ』というタイトルで事業を考えて、2年間は受託事業として活動しました。
受託期間は終わりましたが、活動自体は現在も変わらず継続しています。」

『門前暮らしのすすめ』の活動は、城山公民館が管轄するエリア全戸にアンケートをとることからスタートしました。
そのアンケートから見えてきたのは、門前界隈は住民の大半が高齢者で、空き家や廃屋が増え、町を担う若者や人が足りないと感じている人が数多く、ある意味一種の「限界集落」に近い状況にある、ということでした。
「住む人が増えれば町は元気になる!というコンセプトは、きっと住民のみなさんにも受け入れてもらえるだろう」と考えられたのが、現在の『空き家見学会』の前身である『空き家探検ワークショップ』です。

地区内の空き家を、個々の感性で利用法などワイワイと話しながら巡る、まさに「空き家」を「探検」する取り組みは、当時社会的に空き家が問題となっていたこともあり、メディアからも注目を集めました。

地区内にある空き家をくまなく調べ上げ、持ち主を当たり、見学させてもらえないかどうか・物件として提供してもらえないか大家さんと交渉し、晴れて空き物件となったものを門前で暮らしたい人々に紹介する…これを約2ヶ月に1回ほどのペースで現在までに25回開催されています。

増澤さん:「空き家を見て回るとある人にとっては「これはムリ…」と思うものでも、別の人にとっては「ここスゴくいいじゃん!」と、見え方がまったく違う。
人の価値観が交差し、変化していく瞬間に立ち会えるのがとても面白いんです。」

 
空き家見学会の様子(提供:ナノグラフィカ)

『門前暮らしのすすめ』の活動では、「空き家見学会」のほかにも、門前で暮らす楽しみや文化を発信しています。

市民参加型の演劇や、“手づくり”を集めて開催する「西の門市」、北信に伝わる盃ごと(さかずきごと)を学ぶ「北信流講座」、また盂蘭盆会や地蔵盆など善光寺で行なわれている行事にあやかった催しなど、移住者はもちろん地元の皆さんも楽しめます。


店内には長野在住の作家さんが作ったグラスや小物、
今までにナノグラフィカで発行した「街並み」などが並べられています。
取材当日は、これから始まる企画展「春のエプロン展」の打ち合わせが行なわれ、
みなさん持ち寄った作品を見たり、和気藹々とした雰囲気!

増澤さん:「城山公民館の職員の方から“あなたたちがやっているのは、地元の住民と新しく入ってきた住民との垣根を低くしていく、門前に来た人達をつなぎとめることなんだよ”と言われました。消防団や育成会は無理だけど私たちができることで、まちの人が喜ぶことがあるんじゃないか、ゆるいつながりで、移住者の方も居やすい場を作る、それには文化が必要だと思っています。」

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