こんにちは。農地整備課の歌舞伎揚げです。
年末年始にかけて、随分と冷え込みましたね。
ツンと肌を刺すようなこの寒さこそ、上伊那の冬という感じがします。
今回は、そんな寒さ厳しい12月の5日、12日、19日、26日と計4回、信州大学農学部の皆さんを対象に実施された、農村整備演習の様子をお送りします!
この演習は、県の農業土木職員の仕事の内容や魅力を知っていただくことを目的に、県と大学が連携して行っている取組です。
突然ですが、皆さんは「農業」「土木」という言葉にどのようなイメージが浮かびますか?
「力仕事」「キツい」「なんだか難しそう」そんなネガティブな言葉が思い浮かぶ方も少なくないのでは。
正直、学生の皆さんが当課の仕事に興味を持ってくれるのか、不安がありました。
はたしてどのような結果になったのでしょうか?
では、以下、日ごとの様子をお届けさせていただきます!
1回目の12月5日。
まずは、上伊那地域の農業農村整備地区を見学してもらうため、リニア関連ほ場整備現場(中川村)、飯沼の棚田(中川村)、日曽利地区(飯島町)を訪れ、現場の方々の声を聞きました。
この日は風が強く、行く先々でかじかんだ手をこすり合わせる様子が見られましたが、それでも学生の皆さん全員が、地域の課題や実情等に熱心に耳を澄ませていました。
それぞれの事業概要の説明後は、皆さんからたくさんの質問が。
質問は一つ一つ着眼点が違い、学生さんの個性を感じました。
夕方、薄暗くなり寒さが増す中でも、皆さんの目は最後まで真剣でした。
後日、講義を受けた学生さんたちのレポートから一部、抜粋します。
「本格的に卒論研究の準備に入りだした今、とにかく現場の方々の声は、おもしろい。
これまでの経験や今の困難と共に、実現への希望が強く感じられた」
2回目の12月12日。
この日の演習は上伊那から離れ塩尻市で!
前半は実際の工場現場へ足を運び、監督業務の体験を通して、農業用施設がどのように造られているかを体験しました。
写真は、現場監督業務の一環である「水準測量」を体験している様子。
※水準測量とは…「レベル」「スタッフ」といった測量機器を用いて2点間の高低差や、多くの地点の地盤高さを測定したり、一定の高さを確認したりするための測量をいう。
恐る恐る「レベル」を覗き込み、少々自信なさげに自分が測量した数値を指導員に告げていました。
後半は、農業土木職や建設業の業務内容の説明会。
建設業の魅力、「土地改良区」という組織について、農業土木・建設のこれからの課題等々、様々な分野の話を聞きました。
ただ聞くだけといっても、学生の皆さんにとってはあまり馴染みのない業界や分野の説明等複雑な話が飛び交い、概要を理解するだけでも大変だったと思いますが、みなさん事前配布された資料とにらめっこし、時には資料にメモを書き込みながら話に耳を傾けていました。
この日の演習の様子は、松本のブログでも紹介されています!こちらもぜひ読んでみてください😊
3回目、12月19日。
この日は座学オンリー‼県庁農地整備課の方々を指導員に迎え、設計積算業務の体験として、前回見た工事にどれだけの費用がかかっているのかを実際に計算してもらいました。
①図面から数字を拾い出す
②数量計算書により数量を算出
③積算書により設計額を算出
上記の手順に沿って計算をしていくのですが、あちこちから「うーん…」「わからない…」と悩む声が。
すかさず、指導員や当課の職員がフォローし、順番にわからないところを教えていきます。最初こそ戸惑って何をどうしてよいかわからない様子であった皆さんも、教えてもらう内にすぐにコツをつかんだようで、どんどん空欄を埋めていきます。
そして、全員が時間内に答えにたどり着きました!さすが、優秀です😉
ここでも、演習後の皆さんのレポートの一部を紹介させてもらいます。
「初めて積算業務に触れて、税金を使うからこそ責任のある仕事だと強く感じた。公共事業は近所の住民からの信頼も不可欠なため、工事現場の環境改善費なども事業費に含まれていることを知れた」
工事費の出し方や費用の大きさだけでなく、その裏にある現場の努力を、少なからず感じ取ってくれたようです。
4回目の12月26日。
最終日であるこの日は、大学内で学生と県の若手職員によるディスカッションが行われました。
5つのグループに分かれ「中山間地域における農村の持続性」をテーマに、意見を交わしあいます。
自己紹介なども交えつつ、自身の「農業」に対する持論を展開したり、体験談を語ったりと、どのグループも議論が白熱していきます。
しかし時間は有限。あっという間に発表の時間がやってきました。
皆さん、たくさんのポストイットを貼った模造紙を掲げ、テーマについての意見や打開策などを真剣な面持ちで発表していきます。
「若い世代に農業について考えてもらうために、義務教育に『農育』をさらに熱心に取り入れてみては」
「森林税のように、棚田にも『棚田税』の制度を設けてみてはどうか」
「日本の自給率の少なさにもっと危機感を持ってもらうために、統計を出してみればよいのでは」
等々、たくさんの貴重な意見があがりました。
全4回に渡る演習の集大成として行われたこのディスカッションですが、交わされる意見の熱さに思わず圧倒されてしまいました。
「農業」は、現在の日本ではどうしても重くなってしまいがちなテーマですが、どのグループの発表も現状維持の提案はひとつもなく、これから先の未来を見据えての打開案がほとんどで、最後の演習はどこか希望が感じられる締めくくりとなりました。
ここまで読んでいただいた方はもうおわかりでしょう。
歌舞伎揚げの「学生の皆さんが当課の仕事に興味を持ってくれるのか」という不安は、まったくの杞憂に終わりました。
どの学生さんも、農業を取り巻く環境に対して敏感で、鋭い着眼点を持っていました。
既に就職を決めている人、進路に対して未だ決めかねている人、学生さんによって将来へのビジョンも様々でしたが、この学生さんたちがそれぞれの志をもって社会へ羽ばたいていくことを考えるだけで、なんだか気持ちが明るくなった歌舞伎揚げでした。
演習にご参加いただいた信州大学農学部の皆さん、それぞれの目標に向かって頑張ってください‼
ここまで長くお付き合いいただき、ありがとうございました!
またどこかでお会いしましょう😊✨
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