信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

二地域居住×山の日サミット vol.3

神奈川県出身の津田さんは幼少期をアメリカ、愛知県出身の松井さんは小学校5年生までをドイツで過ごしたとのこと。お二人が感じる、長野の山や自然の魅力について伺いました。

「知ること」と「考えること」。関心を持っている人から、少しずつ

- お二人とも“二地域居住”ですが、普段はどんな生活を?

松井さん)
私は原村に両親の別荘があって、東京でフリーランスの仕事をしながら、よく遊びに来ていたんです。この辺りのことを調べたときに津田さんのことを知りました。一昨年の12月から地域おこし協力隊になって、今は月・火は東京、あとはこっちにいます。

津田さん)
僕は、火・水・木が東京で、週末はこっちで過ごしています。家族はこっちに来て、よかったなって思いますね。暮らしの面でもそうですし、食べ物とかも。教育もそんな不自由することもないですし、むしろこじんまりとしてすごくいいですね。

- お二人から見た長野の山ってどうですか?

津田さん)
全県で見れば本当にいろいろな山があって、北と南で全然違いますよね。北アルプスは去年、会社設立時に1人で雲ノ平まで行きましたが、感動して、もう戻りたくなかった(笑)。八ヶ岳はアプローチがしやすいのに、高山ならではの環境と魅力を備えていますね。ここも標高は1000メートルくらいあって、僕の家はもう少し高いところにあるんですが、普通に住んでいますし。神奈川に住んでいたときは、丹沢・大山によく行きましたが1200メートルくらいなんですよ。山に登るって意味では最適な場所ですよね。

松井さん)
家から歩いて15分で登山道、という場所で暮らせるので楽しいですね。あと、日常的に雲海が出ます。普段の生活に一瞬、非日常の世界みたいなものを垣間見れらるというのも、この辺りの山の良さかなと思います。

津田さん)
雲海はすごいよね。朝起きて、家から普通に見える。朝、甲斐駒ケ岳の雲海を見て、夜、渋谷のセンター街にいるとか、このエクストリーム感は面白いです。

- お二人とも幼少期を海外で過ごしていますが、その点から見てどうでしょうか?

松井さん)
ドイツは環境教育がしっかりしていて、そこでかなり刷り込まれたように思います。「自分には責任がある」ということを自然と感じていて、誰かがやっていることに対して、自分がやっていないというのは何となく居心地が悪い気がして。こっちに住むようになってシカとよく遭遇するので、最初は喜んでいたんですが「20年後には、ここの自然がなくなってしまう可能性がある」と聞いて、すごくショックを受けました。地元の人に全ての責任があるわけではないですが、それでも地元だからこそできることもあるんじゃないか。サミットを企画したときにもそういう思いがあったのかもしれません。

津田さん)
ヨーロッパ、特にドイツでは環境教育はすごく進んでいます。アメリカもまだ一部だろうと思うんですが、それと比べても日本の環境教育は遅れているように思います。でも近年、少しずつ動きもあって、県でも「自然保育」などに力を入れ始めていますよね。そういうところから、意識は変わっていくんじゃないかと思います。

松井さん)
サミットで登壇していただいた皆さんからのメッセージは「知ること」、そして「考えること」。まずは知ってほしいということでした。それはつまり、皆、知らないんです。だから、例えば登山をする人の共通のモラル、みたいなものも分からない。自分の些細な行動が何かの引き金になることもあるってことを教えてくれる人もいない。結局、知らないから起こっちゃうことが多すぎるんです。

津田さん)
例えばこれがサーフィンの話だったら、海に対しての責任感ってもっと高いと思うし、スケーターなら自分たちの公園を大事にしようっていう動きになっていく。結局、自分が興味を持っていることや楽しんでいることじゃないと、意識ってなかなか変えづらいんです。長野に住んでいても山に興味がない人もいるわけで、ゼロから興味を持ってもらうというのは難しい。でも、ちょっとでも興味ある人、好きな人に対して、その度合いを高めていったり、正しい知識を知ってもらったりすることなら。

- そこから変わっていくことはできる。

津田さん)
そこからじゃないと、広げていくのは大変ですよね。僕は、子どもたちを連れて、フェスやキャンプに行くんですが、「楽しかった!」という記憶が残れば、しばらく離れる期間があっても、長い目で見ればまた楽しむようになるかもしれない。自分もそうでしたから。普段から、山や自然を楽しむことで、その経験が意識の変化につながるんじゃないかと思います。


2015年12月にオープンした「森のオフィス」。「まだまだ地元の人の中にとっては『謎の施設』かもしれません」と松井さん。それでもこの1年ちょっとの間に、少しずつ受け入れてくれる人や関わる人が増えてきたと言います。「いろいろな結び付きの中に、『山の日サミット』もあって、地元のアウトドア関係の人とはつながることができました。まだ1回しかやっていないので、回を追うごとに少しずつ着実に、広がっていけば」と津田さん。芽が出たばかりのつながりが今後、どのように大きくなっていくのか楽しみです。

PROFILE
神奈川県生まれ。幼少期はアメリカ・シアトルで過ごす。2001年、武蔵工業大学環境情報学部を卒業後、大手広告代理店に勤務。2011年末、電機メーカーに入社。移住を考え始めたころに富士見町の「テレワークタウン計画」を知り、「自分自身も移住したいし、この計画をプロデュースさせてほしい」と役場にメール。その流れで2015年から東京と長野県富士見町の二地域居住をスタートさせ、Route Design合同会社を立ち上げる。趣味は山と音楽。2児の父。

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