信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

女猟師×皮革活用 vol.3

自身も狩猟免許を持ち、猟に出ることもあるという井野さん。山を熟知し、山の恵みをいただきながらも自然と共生していきたいという思いを持って、生活をしているといいます。

泰阜村の暮らしを楽しんでほしいし、自分自身も楽しみたい

- 最初に泰阜村に来たときは、どう思いました?

山が深い、というのが最初の印象です。それまで暮らしていた土地は、比較的平坦だったので。あとは、空気がきれいで、星もきれいですね。景色はすごいなと思います。雪景色もいいし、雲海が見えることもあって。ここから天竜川の対岸を見るのも好きです。あと、来たばかりのときは、信号がないので、車でめっちゃ走りやすい!と思いました。

- (笑)。

あ、暮らすのに不便ってことはないですよ(笑)。食も豊かですし。キノコなどの山の幸や、昆虫食の文化も面白いと思います。

- 食でいえば、このあたりの人はどうして鹿肉を食べないんですか?

昔はたまに食べていたみたいですが、シカよりイノシシがいいという人が多いです。

- それは、食べやすさの問題?

好みだと思います。鹿肉もニホンジカはクセがなくて淡泊、エゾシカのほうが臭いはあります。でも、さばくときに素早くちゃんと血抜きをしていれば臭みはほとんどないです。スジを取って赤身にしてしまえば、焼いても柔らかいですよ。

- そうなんですね。何となく、臭いやクセがあるように思っていました。

私はエゾシカのほうがが好きなんですけど(笑)。鶏はそんなに臭いはしないし、豚も慣れているので気になりませんが、牛は安いものは臭いがしますし、私はそっちのほうが苦手です。ラムはラム、イノシシはイノシシ、そしてシカはシカ。動物によって多少違いがあるってことなんだと思います。

- おススメの食べ方はありますか?

焼肉でもいいし、カツレツにしてもおいしいです。私は普段は使いやすいようにミンチにして保存しています。週に1、2回くらいは食べているかな。

- 井野さんは普段、猟には出ているんですか?

最近はクラフト体験や、講師の依頼などをいただくこともあって、毎日見回れないのでわな猟はあまりしていません。鉄砲猟はときどき出ているんですが、今はアルバイトもしているので(苦笑)。

- 狩猟免許はいつ取ったんですか?

わな猟免許をまず取りました。こっちにきて2年目くらいだったかな。それで、猟友会に入りました。銃猟免許は協力隊になってからですね。

- 若い女性の猟師は、珍しいんじゃないですか?

そう思っていたんですが、実はそうでもなくて。協力隊になって、「狩猟サミット」などのイベントに行くと、30代前後の若い人たちや女性もたくさんいるんですよ。県内でも女性の猟師は100人くらいいると聞いています。

- あ、意外といますね(笑)。

全然珍しくもなんともなかった(笑)。私よりももっとしっかり猟をしている人や、油や骨を活用している人もいます。「けもかわ」もそうですが、猟師の仕事も次世代に引き継いでいきたいと思っています。

- 猟師も増やしていきたいと。

実は今、空き家の改修もしていて、そこを事務所兼、さまざまな体験ができる場所にしたいと考えています。狩猟体験もときどきやってはいるのですが、その都度、猟師さんの家にお世話になっているので、回数が増えると難しいですし。お客さんに来てもらえるような、プロジェクトの土台となるような場所にしていきたいですね。

- 拠点ができると、活動も充実していきますね。

泰阜村の暮らしを楽しんでもらいたいし、自分自身も楽しみたい。現状ではアルバイトをしながら、というところもあるので(苦笑)。楽しみながら、それが仕事につながっていくのが理想です。


現在、JR長野駅の在来線と新幹線乗り換え改札の短いエスカレーターの北側にある「おらっちBOX」で、「けもかわプロジェクト」の展示が行われています。3ヶ月ごとに商品を入れ替えながら、この1年、取り組みをPRしてきました。「けものたちの命が、暮らしの中で生きるモノになるように」という井野さんの思いは、少しずつ着実に広がっています。

PROFILE
1988年、熊本県生まれ。島根大生物資源科学部卒。2010年4月に泰阜村の「NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター」に就職。2013年4月、同村の地域おこし協力隊に就任し「けもかわプロジェクト」をスタートさせる。3年間の任期を終えて、2016年4月から個人事業として継続。

LINEで送る

このブログのトップへ

CLOSE