2016.03.28 [長野県山岳総合センター 所長 杉田浩康さん]
山岳総合センター×安全登山 vol.3
長野県山岳総合センターが作成に当たった「信州 山のグレーディング」。今年に入り、ルートを細分化したピッチごとの評価も公表。山に関わる人たちのコミュニティサイト「ヤマレコ」とも連携し、普及促進を図っています。
山の難しさは、体力と技術で決まる
- 「山のグレーディング」はどうやって決めていったんですか?
当時、県内の遭難事故が4年連続で増えていて、何とかしなければと検討会が開かれたんです。そこで山の難しさを知らせるグレードが必要ということになりました。何か、客観的な判断基準がないとなかなか注意喚起にはつながらない。それで縦軸は計算式で出す、横軸は定義を決めて、その二つを軸にしてバランス良く決めましょうと。
- 縦は体力度、横は技術的難易度なんですね。
縦軸は、距離と高低差で計算式があって、ルートごとに地図を調べれば数値で出ます。横軸は、いったんセンターで作った後、それぞれの地区の遭対協に確認してもらいました。
山のグレーディング
- 体力と技術、それぞれで考えると分かりやすいですね。
ただ、体力は測定できますが、経験や技術、判断力というのは測るのが難しい。今、それを整理しようと思っています。例えば地図と磁石を使って道を見つけられるか、登る前に天気予報を調べているか、低体温症になったときの対処方法を知っているか…そういう、チェックリストみたいなものを用意しようかと。
- そういう目安があると、足りない部分を学んだり、準備したりする人が増える気がします。
山へ行く前にチェックして、できないことがあったら気を付けよう、準備しようという行動につながればいいですよね。山の状況を想像するのが難しいという人もいるかもしれないので。普段は、道が分からなければスマホを見ればいいし、お腹がすいたらコンビニがあるし、雨が降ったら地下に入ればいいわけですから。
- 山登りをする人でも、地図はあまり見ないものなんですか?
見方が良く分からない人もいると思います。アンケート調査では、3~4割が地図を持っていないというデータがあります。スマホだったら8割以上が持っているんですが(苦笑)。
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