信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

元プロスキーヤー×スノーリゾート vol.3

上野さん夫妻が暮らす野沢温泉をはじめ、県内にはさまざまなスキー場があります。世界各国を見てきた二人の目には、どのように映っているのでしょう。

信州のスノーリゾートの魅力は、まだまだ広がる可能性がある

- 信州のスキー場についてどう思いますか?

マナミさん)
私は「信州スノーリゾートアンバサダー」を務めて今年で3年目になるんですが、信州のスノーリゾートを見て思うのは、「作られてないスノーリゾート」ということですね。

- 作られていないというのは?

マナミさん)
そこにある自然が持っているポテンシャルを活かして、その土地を愛して住み続けている人たちが、来た人をもてなすというスタイルというか。マンションやホテルがドーンと建っているリゾート地とは少し違う感じのところがたくさんありますよね。

- そう言われると、県内各地、それぞれの地域柄を感じられるかもしれません。

上野さん)
僕は、南信はあまり行ってないので分からない部分も多いですが、長野県としては自然が豊かだということ…と言うと、当たり前だと思われるかもしれませんが(笑)。それでも、その自然を使い切れていないというか、もっとアイデアを加えていけば可能性はまだまだあると感じています。例えば、夏は自転車のコースを作ることをスキー場に提案して、5年ほど前から取り組んでいます。ゲレンデの有効活用と誘客ですね。

- 夏の楽しみも増えると、通年でお客さんも増えますね。

マナミさん)
ここは、リピーターが多い場所です。毎シーズン、この時期は「野沢温泉に行かなきゃ」っていう人がいて、迎える私たちも、「そろそろ皆、来るころだな」って思って。土地や人を気に入って「また来たい」と思ってもらえたり、「第二の故郷」と言ってもらえたりするのは、ありがたいですね。

上野さん)
野沢温泉は民宿が多いんですが、宿にもそれぞれ個性があるので、お客さんも個性に合わせて選ぶことができる。各宿に常連客がいて、お互い楽しくやりとりができる。決まったスタイルではなく、それぞれ個性があることが、大きな魅力だと思います。同じようなことが長野県全体の魅力としても言えるのではないでしょうか。

- 最近は、外国人も増えましたか?

上野さん)
増えましたね。戻ってきて店を始めたころはそんなに多くはなかったですが、3年目くらいから右肩上がりで。10年前は一人も見ないという感じだったので大きな変化ですよね。オーストラリアからのお客さんが多かったんですが、最近はアジア圏、シンガポールや中国の人も増えてきました。

- 外国人の事故なども、ニュースで聞きます。

上野さん)
ニュースになると、ワッと広まってどうしてもそういう印象が強くなるんですが、外国人のお客さんは自分の身は自分で守るという感覚を持っているように感じます。遭難して救助が必要になることもありますが、最低限の装備はしていることが多いです。アジア圏はスキーの技術があまり高くない人が多いので、無茶なことはしないですね。どちらかといえば、日本人のほうが十分な装備もなく、無茶なことをする…ということがあるように思います。

- バックカントリーなどが問題に上がることもあります。

上野さん)
啓蒙活動は僕らも含めてもう少し、していかなければいけないかなと思います。自分たちと接しているお客さんには入ってはダメな場所などもきちんと情報を伝えています。地道な活動ではありますが。

マナミさん)
とにかく規制をするというだけでは、解決しない問題ですよね。「ダメ」と言われる場所に魅力を感じてしまうのは、大人も子どもも一緒で(苦笑)。個人のモラルの問題も大きいと思います。

上野さん)
長い目で見ると、育成事業もその一つになると捉えています。どこが危ないとか、何が必要かということを子どものころから知っておくということも、大切ですから。

- 楽しさだけではなく、難しさ、危険な面も伝えていく。

上野さん)
僕たちの取り組みは、シンプルで地道なことなのかもしれません。やりたいと思った人に対して、レンタルで気軽に道具を使えるようにして、楽しむために必要なことを教える。その入り口になるような情報と、実際に楽しむときのアドバイスを、これからも広く伝えていきたいです。


二人のお子さんは現在、スキーもスノーボードも楽しんでいるとのこと。「あまり決めずに、とりあえずやりたいことをやってみてほしい」と上野さんは話します。信州の暮らしに欠かせない雪。その雪の魅力を感じることができれば、子どもも大人も、もっとスノーアクティビティを楽しめるのかもしれません。

PROFILE
1981年、野沢温泉村生まれ。2歳でスキーを履き、小学校中学年ごろから本格的な競技スキーを始める。大学卒業後にプロスキーヤーとして活躍。2010年シーズンに、故郷へ戻り「Compass Project」をスタート。プロジェクトの情報発信基地となるショップ「COMPASS HOUSE」を構え、フリースタイルスキーの普及やさまざまなスノーアクティビティを提案している。

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