信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

里山×鳥獣対策 vol.3

信州の山の魅力を「雄大な姿と、山々からの恵み」という小山さん。山との距離が近いからこそ、感じられる素晴らしさと気を付けてもらいことを話してくれました。

山に行くことで癒され、力の源になる

- 毎日、山へ行っていると休みの日はさすがに…?

高い山を登山するとまではいきませんが、でも、休みになれば妻と一緒に、自然のある場所、どこかしらに遊びに行っています。長野県はいろいろな山があって、自然豊かな観光地や、温泉もありますし。

- 仕事もプライベートも山なのですね(笑)。

私は出かけないと休めないというか(笑)。家にじっとしていることは、ほとんどありません。

- 小山さんにとって信州の山の良さって、どんなところですか?

高山帯もあればブナ林もあって、それぞれ景観が違いますよね。あと、浅間山には身近にあることもあってよく登りますが。山へ行くと、癒されたり、力の源になったり。地域の人たちも皆さん、温かいですし。

- 仕事上、住民の方々と関わることも多いですよね。

軽井沢に来て、地域の営みや、それぞれ地域ならではの事情、その地域に見合った対策はなんだろうと意識するようになりました。クマの被害にあった現場に出掛け、最初は「なんだお前は」と不審がられたこともあります。一緒に話をするようになって、徐々に打ち解けてきて、「クマにはこんな習性があって…」「次はこんな対応策をしてみませんか」など、どう折り合いを付けていくかを話せるようになり、「駆除しろ」と話していた方の態度が徐々に変化していったこともあります。

- 知ることで、気持ちも変わっていく。

野生動物の対策は、「町づくり」の一面もあると思っています。鳥獣対策のことで、行政がすべき役割もあれば、専門家の役割もある。住民一人一人が意識すること、協力をいただくことなど、地域一丸で取り組むことが効果的ではないかと思います。と、口で言うのは簡単なんですが(苦笑)。

車道脇で観光客から餌をねだり、近寄って来るキツネ

- 意識をする、というのはなかなか難しいですよね。

軽井沢は特別、と言われることもあるのですが、野生動物の生息地と人の生活圏が大きく重なっていることがより複雑な問題につながっている気がします。新たに別荘が建ち、いろいろな人達が暮らすようになる。そうすると、「町だと思って来たら、すぐそこにサルがいる」「クマがいると聞いたことはあったけど、まさかうちの庭に来るなんて」という声もよく聞きます。

- 心構えがないと、驚くし、怖さも感じます。

ピッキオでガイドをしていたときに、高いところから町全体を眺め、「あの辺りは町ですか?山ですか?」と問いかけることもありました。町の中にいるとあまり実感できないのですが、山から眺めると、一面森の中に町があるようにも見えます。

別荘地内にも暮らしている野生のカモシカ

- 動物の目線だと、境界線はないんですね。

お客さんも「森だね。そりゃあ、動物もいるよね」って言います。そういう中で、クマに限らず人と野生動物のトラブルをいかに回避できるかということだと思います。

- 防ぐためには、どうすればいいのでしょう?

知らないことが怖さにつながっている一面もあるので。怖い、危ないから撃て、と口にするのは簡単…、いや簡単にはいかないのですが、撃つ前に事故や被害を未然に防げることもあると思います。庭に好んで食べる実のなる木があった、生ゴミなど屋外に置かれていたなど、結果的に、野生動物を引き寄せてしまった場合もあります。

住宅、別荘地を遠くから眺めれば、野生動物も暮らす森の中にある軽井沢町

- まずは知ることが第一歩になる。

信州は山が近く、季節を、目、耳、味など、体感することができます。山の恵みもあふれています。こうした自然豊かなことは、身近に野生動物も暮らしていることでもあります。野生動物の存在を知って、備えること、日常の些細な行動を積み重ねていくこと、地域ごとのルールを作って守っていくことが大事なんだと思います。


山には、クマやサル、シカもイノシシもいる。それはもちろん分かっているのですが、その動物たちとの距離は、思っているほど遠くないのかもしれません。近年、野生動物が町の中に出没したというニュースもよく耳にしますが、驚くだけではなく、「どうしてか」「何かできることはあるのか」と考えることが、山の近くで暮らす私たちには必要なのだと感じました。

PROFILE
1968年、東京都・杉並区生まれ。東京農業大学在学中から、神奈川県丹沢山地でツキノワグマの調査研究に携わる。卒業後、株式会社野生動物保護管理事務所に勤務し、研究を継続。1999年、NPO法人ピッキオへ。軽井沢町の委託でツキノワグマ対策を行う傍ら、ガイドとしても活躍。2009年から現職。ニホンザルの対策・追い払いを中心に野生動物との軋轢の回避、普及啓発活動に尽力している。

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