2016.11.30 [軽井沢町有害鳥獣対策専門員 小山克さん]
里山×鳥獣対策 vol.3
- 心構えがないと、驚くし、怖さも感じます。
ピッキオでガイドをしていたときに、高いところから町全体を眺め、「あの辺りは町ですか?山ですか?」と問いかけることもありました。町の中にいるとあまり実感できないのですが、山から眺めると、一面森の中に町があるようにも見えます。
別荘地内にも暮らしている野生のカモシカ
- 動物の目線だと、境界線はないんですね。
お客さんも「森だね。そりゃあ、動物もいるよね」って言います。そういう中で、クマに限らず人と野生動物のトラブルをいかに回避できるかということだと思います。
- 防ぐためには、どうすればいいのでしょう?
知らないことが怖さにつながっている一面もあるので。怖い、危ないから撃て、と口にするのは簡単…、いや簡単にはいかないのですが、撃つ前に事故や被害を未然に防げることもあると思います。庭に好んで食べる実のなる木があった、生ゴミなど屋外に置かれていたなど、結果的に、野生動物を引き寄せてしまった場合もあります。
住宅、別荘地を遠くから眺めれば、野生動物も暮らす森の中にある軽井沢町
- まずは知ることが第一歩になる。
信州は山が近く、季節を、目、耳、味など、体感することができます。山の恵みもあふれています。こうした自然豊かなことは、身近に野生動物も暮らしていることでもあります。野生動物の存在を知って、備えること、日常の些細な行動を積み重ねていくこと、地域ごとのルールを作って守っていくことが大事なんだと思います。
山には、クマやサル、シカもイノシシもいる。それはもちろん分かっているのですが、その動物たちとの距離は、思っているほど遠くないのかもしれません。近年、野生動物が町の中に出没したというニュースもよく耳にしますが、驚くだけではなく、「どうしてか」「何かできることはあるのか」と考えることが、山の近くで暮らす私たちには必要なのだと感じました。
PROFILE
1968年、東京都・杉並区生まれ。東京農業大学在学中から、神奈川県丹沢山地でツキノワグマの調査研究に携わる。卒業後、株式会社野生動物保護管理事務所に勤務し、研究を継続。1999年、NPO法人ピッキオへ。軽井沢町の委託でツキノワグマ対策を行う傍ら、ガイドとしても活躍。2009年から現職。ニホンザルの対策・追い払いを中心に野生動物との軋轢の回避、普及啓発活動に尽力している。
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