信州魅力人

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他社には真似できないジャム作り 「面白くってやめられない」で半世紀

「生で食べるよりおいしいジャムをつくりたい。」78歳という年齢を感じさせない屈託ない笑顔。創業メンバーの一人であり、現在も開発を担当するデイリーフーズ高松宏副会長。「面白くって、やめられない。」

しなの鉄道の「テクノさかき」という駅名が物語るように、ものづくり企業が集積する長野県坂城町。南北に流れる千曲川の西岸、びんぐし山のふもとにデイリーフーズの主力工場があります。1970年の創業時から40年間、この地でジャムを作り続けているデイリーフーズ。
長野県のものづくりの「すごい技」と、その人の魅力を紹介する信州魅力人。デイリーフーズ副会長高松さんの2回目です。

ジャムをつくりながら発電できる?

―「ジュール製法」に「発酵ジャム」。次々とあたらしくておいしいジャムのつくりかたを考えてきた高松さんですが、まだまだ新しいアイデアがあるんですよね?

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環境にもやさしいジャムづくりというのが課題です。
そこで、ジャムをつくりながら発電できないか?って考えたんです。
今、新しい技術で、熱を電気に変える仕組みがあります。
これをジャムの冷却のときに使えば、発電しながらジャムがつくれるんじゃないかと。7、8年前に、たまたま「熱電変換素子」というものを秋葉原の電気街で見つけまして、それにずっと凝ってやっています。

―今、頭の中では、熱電変換素子を使った新しい冷却方法を考えられているんですね。

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もう、ほぼできています。今は10機近く作って、先日組み立てが終わってまもなくできます。それを使って、12ボルトの直流で熱を取りながら発電する。熱を取ることで発電するんです。その電気を使って、またジャムを作ります。



―面白いですね。熱電変換素子の冷却装置にしても、ジュールの新しい作り方にしても、ほぼ副会長がご自身で研究されたんですね。

研究というか、物好きだからね、私は(笑)そういうものをみると、こんないいものがあるのか、何かに使えないかと思うんですね。そういうものに取り付かれて、もう7、8年になるのではないかと思います。

―失礼ですが、お年は78歳の副会長が、今も秋葉原に行ってこれで発電ができる、という機械を見つけてきたりすることがすごいと思います。今は新しいジャンルも考えているということですが、どんなものでしょうか。

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今作ろうとしているのは、食用の「ほおずき」です。テスト品として販売をしたものが評判がいいようです。リピーターがいるんですよね。



―このほおずきは、シロップ漬けですよね。隣にあるのは巨峰のシロップ漬けですね。こういったものを今も作っているのですね。珍しいのは、柿のジャムですね。こういうものも、今も副会長が現場に立って作るんですか。

今でもたまに工場へは行きますよ。さっきも工場に入って作ったんですけどね。試験的に30kgぐらい、材料を作ってやってみたんですけどね。

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―この商品名がいいですよね。「さかきジャム」。坂城(さかき)町の名前と柿(かき)を掛けたネーミング。このジャムはなぜ作ろうと思ったんですか?

柿の木は、長野県にいっぱいあります。
我々が子供のころは、木に登って取ったり、低いところだったらもいで生で食べたりしましたよね。または干し柿にするとか。商品価値があるものは、市場へ出て販売されたりするんですが、傷があったり色が悪かったりするものは、ただそのまま捨てられたりしてしまいます。
昔はとっていたけど、今はそのままなんていう柿の木もある。

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そういうものをなんとか商品として販売することはできないかと考えました。
自社のグループでやっている農場の柿を集めて、50箱くらい冷蔵庫に入れておいて、それでジャムを作ってみたら、結構美味しいものができたので、こんな名前をつけてラベルを作って商品化し、一部販売をしているということです。

―柿の実をいっぱいつけたまま、雪をかぶった柿の木ってあちらこちらでみかけますよね。昔だったら干し柿にしたりしていたのに、もったいないですね。

そうなんです。
柿のことを思えば、もったいないなと思いましたし、地面に落ちたら汚らしいですよね。だから、そういうもので何かができないかなと思いました。
痛んだものを木から取って冷蔵庫に入れておいて、ジャムにできればと。

―柿ジャムの横にある巨峰は、丸ごと巨峰が入っているんですが、売られている巨峰に比べれば小さいですよね。

そうですね。これに使われているのは2級品、3級品の、いわゆる市場に出て行かないような小さなものです。それをこういう風に加工してはどうかと試してみたんです。一部、販売しているんですが、お客さんは結構買っていってくださいます。

―農産物としては市場に出なかったものが、加工されると価値が上がるんですね。付加価値をつけて販売できる農産物の加工品。これは農家さんたちにとっても嬉しいですね。でもどうしてこういうものをつくろうと思ったのですか?

自社の農場で育てたものでも、こういう小さい実の巨峰は使い道がないんです。
自分の家で食べるといっても限度がありますし、去年のように天候が悪ければ、市場に出せるような大きな実になることは難しいんです。
そうなるとみんなはどうするのかというと、最後にはジャムにするかジュースにするぐらいですよね。そういうものを加工することで付加価値がついて、ある程度の価格で売れれば生産者にも喜ばれるでしょうし、時期はずれに巨峰が食べられれば消費者も喜んでくださる。いいでしょう。

―78歳になってもどんどんアイデアが出てくるのは素晴らしいですね。一体どこからそのアイデアが浮かんでくるのですか。

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アイデアというレベルじゃありませんが、いつも「何かできないかな」って考えているだけです。
私は忘れっぽいので、思いついたことはメモしているんです。常にポケットにメモ用紙と鉛筆を持っていまして、夜中もメモ用紙と鉛筆は枕元に置いてメモしてます。朝起きてから、昨晩いいことを思いついていたと気づいて、思い出そうとしても思い出せないんですよね。
年もそうだし、元々頭よくないですから。常にメモをしておくんです。



―今もっているメモにはどんなことを書いてあるんですか。

今あるメモ?変なことをきくなぁ。(笑)メモ用紙といっても、これはカレンダーの紙です。

―本当ですね! カレンダーを切ってつくった自作のメモ帳なんですね。

この厚紙がいいんです。
ポケットに入れてもくしゃくしゃにならないので。いっぱい書いてありますよ。忘れてしまうので、何でも書いておくんです。

―ちょっと見せていただくと、いっぱい書いてありますね。“マンゴー”という文字があったり。

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ふふふ。これは、トロピカルフルーツを発酵させてゼリーができないかと、パティシエが言うもんですから、メモしたんです。



―こういったところからこういう新製品が次々に生まれてくるんですね。

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