2012.03.09 [デイリーフーズ(埴科郡坂城町)取締役副会長 高松宏さん]
他社には真似できないジャム作り 「面白くってやめられない」で半世紀
―この商品名がいいですよね。「さかきジャム」。坂城(さかき)町の名前と柿(かき)を掛けたネーミング。このジャムはなぜ作ろうと思ったんですか?
柿の木は、長野県にいっぱいあります。
我々が子供のころは、木に登って取ったり、低いところだったらもいで生で食べたりしましたよね。または干し柿にするとか。商品価値があるものは、市場へ出て販売されたりするんですが、傷があったり色が悪かったりするものは、ただそのまま捨てられたりしてしまいます。
昔はとっていたけど、今はそのままなんていう柿の木もある。
そういうものをなんとか商品として販売することはできないかと考えました。
自社のグループでやっている農場の柿を集めて、50箱くらい冷蔵庫に入れておいて、それでジャムを作ってみたら、結構美味しいものができたので、こんな名前をつけてラベルを作って商品化し、一部販売をしているということです。
―柿の実をいっぱいつけたまま、雪をかぶった柿の木ってあちらこちらでみかけますよね。昔だったら干し柿にしたりしていたのに、もったいないですね。
そうなんです。
柿のことを思えば、もったいないなと思いましたし、地面に落ちたら汚らしいですよね。だから、そういうもので何かができないかなと思いました。
痛んだものを木から取って冷蔵庫に入れておいて、ジャムにできればと。
―柿ジャムの横にある巨峰は、丸ごと巨峰が入っているんですが、売られている巨峰に比べれば小さいですよね。
そうですね。これに使われているのは2級品、3級品の、いわゆる市場に出て行かないような小さなものです。それをこういう風に加工してはどうかと試してみたんです。一部、販売しているんですが、お客さんは結構買っていってくださいます。
―農産物としては市場に出なかったものが、加工されると価値が上がるんですね。付加価値をつけて販売できる農産物の加工品。これは農家さんたちにとっても嬉しいですね。でもどうしてこういうものをつくろうと思ったのですか?
自社の農場で育てたものでも、こういう小さい実の巨峰は使い道がないんです。
自分の家で食べるといっても限度がありますし、去年のように天候が悪ければ、市場に出せるような大きな実になることは難しいんです。
そうなるとみんなはどうするのかというと、最後にはジャムにするかジュースにするぐらいですよね。そういうものを加工することで付加価値がついて、ある程度の価格で売れれば生産者にも喜ばれるでしょうし、時期はずれに巨峰が食べられれば消費者も喜んでくださる。いいでしょう。
―78歳になってもどんどんアイデアが出てくるのは素晴らしいですね。一体どこからそのアイデアが浮かんでくるのですか。
アイデアというレベルじゃありませんが、いつも「何かできないかな」って考えているだけです。
私は忘れっぽいので、思いついたことはメモしているんです。常にポケットにメモ用紙と鉛筆を持っていまして、夜中もメモ用紙と鉛筆は枕元に置いてメモしてます。朝起きてから、昨晩いいことを思いついていたと気づいて、思い出そうとしても思い出せないんですよね。
年もそうだし、元々頭よくないですから。常にメモをしておくんです。
―今もっているメモにはどんなことを書いてあるんですか。
今あるメモ?変なことをきくなぁ。(笑)メモ用紙といっても、これはカレンダーの紙です。
―本当ですね! カレンダーを切ってつくった自作のメモ帳なんですね。
この厚紙がいいんです。
ポケットに入れてもくしゃくしゃにならないので。いっぱい書いてありますよ。忘れてしまうので、何でも書いておくんです。
―ちょっと見せていただくと、いっぱい書いてありますね。“マンゴー”という文字があったり。
ふふふ。これは、トロピカルフルーツを発酵させてゼリーができないかと、パティシエが言うもんですから、メモしたんです。
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