信州魅力人

信州の魅力、それは長野県内で頑張るつくり手たちの魅力。そんな魅力人の想いをお伝えします

日本トップレベルの溶接技術で世界へ

「新・信州魅力人」では、メイドイン信州のすごいものづくり技術や匠の技をご紹介し、ものづくりを支える起業人たちの魅力に迫っています。
羽生田鉄工所の羽生田豪太社長の2回目。
「鉄を加工する、というのは変わらない。お客様の要望にこたえていたら、業態が変わっただけです。」"100年企業"の若き経営者の魅力に迫ります。



一貫生産「すべて長野でつくる」

―羽生田鉄工所のすごいところは一貫生産。「すべて長野でつくる…」というのは簡単ではないですよね?かつてのボイラーから、今の圧力容器まで、部品から始まって、最後の最後までここで作っているのですか?

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一部部品は外注していたものもありましたが、内製化してやっていこうということにこだわっています。
鉄板を買ってきて、この仕様でつくりましょう、とお客さんと話す。契約をしたら鉄板やボルトなどを注文して、それを丸める、あるいはプレスして、溶接して、部品を機械加工して、組み立てて、また溶接をしていきます。
出来上がったものは、圧力容器として国の検査を受けます。検査を受けたものに機能を加えるために配管をして、電気部品をくっつけて、制御装置をくっつけて、装置として完成させます。
電気系統も制御装置も、すべてこの長野の工場で作っています。



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創業1884(明治17)年。長野県須坂市で鍛冶屋鉄工所としてはじまった羽生田鉄工所は、1900年当時、日本の主力産業となる蚕糸業のボイラー製造を開始します。
かつては看板にも「ボイラーの羽生田」と出していましたが、現在、ボイラーは生産していません。年間売上高約14億円のうち7割を、きのこやみそ生産用などの圧力容器が占めています。
鍛冶屋の技でボイラーをつくり、ボイラー製造技術を大型の密閉タンクへと展開した羽生田鉄工所は、養蚕からみそづくり、きのこ生産と、長野県の地場産業を支えるものづくりメーカーです。



― 一貫生産できる工場があるのもすごいのですが、一番はすごいのはいろいろなモノを「作れる人材」がいることですね。どうやって人材を集めて、育てているのですか?

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人は、段々来てくれたんです。
人材育成でいうと、社内で重要な技術のひとつが溶接。昔からうまい人がいて、その技術を盗むという職人の世界でやってきましたが、あるときから全体の技術レベルはどうなのか見返すために、社内で「溶接コンクール」というものをやり始めました。
すると、できること・できないことなど分かってきました。
全体的な底上げが必要だと思い、社内全体で溶接を見直そうという動きも出てきました。

―「社内コンクール」は素晴らしいアイデアですね。

賞金も出ますから、本気で盛り上がります(笑)

―現在は、技能五輪に向けて頑張っている若い方もいらっしゃいますよね。

21歳の若手社員が頑張っています。
彼は去年初めて大会に参加しましたが、その時に色々なことが分かりました。勉強したことを今年に活かそうという態勢を作っています。

―彼は今、溶接漬けの毎日ですか?

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そうですね。昼も夜も遅くまで黙々とやっていますよ。

他の仕事はせずに、業務として、ずっと溶接の勉強をしています。
技能五輪の課題は、ステンレス、鉄などで、指定のものを時間内に製作するんです。用意した板を、油を取るところからはじめて、それを組み立てていき、溶接して最終的には加圧の検査をします。耐圧でどのくらい耐えられるのかを検査します。
それを毎日毎日、課題として取り組んでいます。

―その若者も大変ですが、会社としても(仕事をさせないで練習ばかりさせているのは)負担も大きいと思います。技能五輪には余裕のある大手企業からの参加が多いと思いますが、御社から若手を送り出すメリットは?

負担を考えれば大きいと思います。しかし、溶接というのは会社全体にとって非常に重要な技術だと思っています。
去年参加して思いましたが、造船業や大手重工業から出てくる選手というのは日本でも何本かの指に入る人達が出てきています。技能五輪に参加することにより、技術の向上を目指しているのです。

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中ぐらいの技術で中ぐらいのものを持っている会社よりはいいと思うのです。トップレベルの技術をもっている人で溢れかえった中小企業だからこそ、お客さんがどんどん仕事を持ってきてくれるという流れのほうが、やっていて楽しいし、誇りを持ってできます。




「大事なのは、やる気です。」

羽生田社長がとりわけ大事にする「やる気」。「精神論、と笑われるかも知れませんが。」
毎年夏に開催され、50人近くの社員が参加する社内の溶接コンテストもその一例です。「そもそも溶接は職人の技なので、技術の継承が課題でした。」コンテスト前になると、通常業務が終わった後、練習に励む技能職の姿がみられるように、モチベーション向上にも一役かっているようです。

従業員およそ半分が、工場で働く技能職。
「ひとりひとりの技術が、ノウハウであり財産」と羽生田社長。コンビニやファストフードなどのマニュアルに落とし込める生産ラインとは「まったく逆」なのだとか。
若い技能者にも、羽生田社長のものづくりの魂が伝承されていきます。

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