確かに私が師匠に追い付いた時、
もう、うなり声は聞こえなくなっていたのです。
熊だったことを聞いて驚愕した私は、
師匠に尋ねました。
「吠えられたとき、
怖くはなかったんですか!?」
師匠は言いました。
「ええ。私は動物に対して恐怖心を持っていません。
ですから心を開いて、
平安の気と友情を送ることができるのです」
「では、どうして歌おうと思ったんですか?」
「突然人間に出会った熊はまず驚き、
どうしようかと惑い、恐怖を抱きます。
つまり『怖さの余り』人を襲うのです。
だから歌を歌って熊の心を鎮め、
『襲おう』という気を変えようとしたのです。
歌は動物の心に直接響き、
気分を変える力があるからです」
「でも、もし私一人だったら
とても平常心で歌うことはできなかったと思います」
「声が上ずっていてもいいのです。
ああいう状況なら、熊も大目に見てくれるでしょう」
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実際、
「熊に出会ったら歌え」は
アメリカ・インディアンの伝統的な教えですし、
「穏やかに話すこと」や「低い声で熊と話し続けること」は、
グリズリー(ハイイログマ)やヒグマ、
クロクマを相手とした「熊対策」として
アメリカ合衆国国立公園局が公式ホームページで勧めていることです。
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