2015.10.23 [ 南信州の伝統・文化・史跡 ]
往時を彷彿させる今田人形蝋燭(ろうそく)公演~南信州の民俗芸能【2015秋】~
地域政策課のTです。
南信州も秋本番。各地で多くの民俗芸能が披露されています。
今回は、飯田市龍江の大宮八幡宮秋季例祭で奉納された今田人形の公演をご紹介します。
今田人形は、国の選択無形民俗文化財である「伊那谷の人形芝居」のうちの一つ。江戸時代中頃の1704年(宝永元年)に始まったとされ、浮き沈みはありながらも300年以上にわたり途切れることなく、地域の皆さんにより伝承されています。
奉納公演は、10月18日の宵祭りと19日の本祭りの二日間に渡って行われましたが、筆者は宵祭りにおじゃましました。
午後7時からの公演ということで、辺りはすっかり暗くなり、境内に飾られた竹宵の蝋燭(ろうそく)明かりが観客の皆さんを出迎えます。加えて、宵祭りでは、必要最低限の照明を除き、和蝋燭の明かりの下で公演が行われます。開演に先立ち、今田人形座の澤柳座長さん曰く「照明器具のなかった江戸時代に思いを馳せてご覧頂きたい。」とのこと。
まず、淡路人形の最も古い形式を残すとされる「戎(えびす)舞」が披露されました。えびす様が庄屋宅を訪れ、地区の様々な福を祈って神酒で乾杯し、最後は沖に出て大きな鯛を吊り上げるという内容。ラグビーワールドカップで活躍した五郎丸選手の話題などウィットに富んだ口上もあり、会場の笑いを誘っていました。
続いて、龍峡中学校今田人形座の生徒の皆さんによる「伽羅先代萩~政岡忠義の段~」です。太夫、人形遣い、裏方のそれぞれを32人の生徒たちが分担し、息のあった素晴らしい演技を披露いただきました。
地域の民俗芸能を継承していく上では、子どもの頃から体験を積むことが重要です。龍江地区では、中学校だけでなく、小学校での取り組みも行われていて、中学卒業後に今田人形座に入座する若者の確保につながっています。伝承の担い手育成として無くてはならない取り組みとなっています。
さらに、今田人形座による「日高川入相花王~渡し場の段~」、「伊達娘恋緋鹿子~火見櫓の段~」の2演目が披露されました。
題目が進むにつれ、照明が少しずつ落とされ、最後はほぼ蝋燭明かりのみに・・・。演目の内容とも相まって舞台は幻想的な雰囲気に包まれ、正に300年前の公演にトリップしたような不思議な感覚に魅了されました。
追伸 伊那谷の人形芝居に取り組む各団体が一堂に会した公演が開催されます。伝統ある人形芝居に触れる絶好の機会ですので、皆さんも是非ご鑑賞ください。
日時:平成27年11月14日(土)10:00から16:30まで
場所:黒田人形浄瑠璃伝承館(飯田市上郷上黒田2344-2)
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