2017.08.09 [ 南信州の林業 ]
この木なんの木?2
こんにちは、林務課のD.Mです。
蒸し暑い日が続きますが、こんな日は涼しい山の現場へ行きたいものです(でも体を動かすので結局汗だくになりますが)。
さて、この木をご覧ください。
樹種はヒノキみたいですが…変な赤い物体がくっついてますね。もっとよく見てみましょうか。 え、何これ?
答えを教えましょう。これは野菜ネットです(野菜の苗売り場でジャガイモの種芋が入っているあれ)。
このネットのついた木が、この森には何本もあります。
でも妙ですよね、野菜ネットが木に付いている。何か収穫するのでしょうか。
その通りなんです、収穫するのです。
この木がある森は採種園(さいしゅえん)といいます。
人工林を造るためにはまず苗木を植えなくてはいけませんが、採種園ではその苗木を育てるための種子を採取します。
採種園にある木はそれぞれ成長が良かったり、幹が真っすぐ伸びたりといった特性があり、そんな特性を持った親を掛け合わせることで、両親の良い特性を持った木に育つ種子が採れると言われています。
今回の投稿で取り上げた採種園は高森町にある高森採種園で、長野県下に7か所ある採種園の1つです。
高森採種園は2haほどの広さで、ヒノキを育成していますが、スギやカラマツ、アカマツを育成している採種園もあります。
この丸いボールはヒノキの実で、「球果」といいます。
野菜ネットはこの球果にかけるのですが、ジャガイモやタマネギのように袋詰めするためにかけているのではありません。
実は、球果を狙う不届きな輩がいて、その手から球果を守るために野菜ネットを球果にかけているのです。
ではその不届きな輩は誰でしょうか。それは、「カメムシ」です(ヘクサムシとも呼びますね)。
果樹の害虫でもあるカメムシは、針のようにとがった口を球果にブスリと突き刺し吸汁します。すると吸汁された球果から採った種子は発芽しにくくなってしまうのです。発芽しないのでは苗を育てることができません。一番最初の写真の変な光景は、信州の林業を支えている最前線の光景なのです。
林業は木材を生産して終わりではありません。木を伐採した後は苗木を植え、再び森を造らなければいけません。この森づくりの循環がなければ林業は成り立たないわけですが、採種園はその一端を担う、と~っても重要な存在です。
高森採種園は高森町山吹の山の寺キャンプ場の向かい側にあります。山の寺キャンプ場へ行かれたときには、このブログの話を思い出して採種園のヒノキを探してみて下さい。
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