信州魅力発掘人 信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

山岳総合センター×安全登山 vol.3

- 地図を持たない人が、結構いるんですね…。

天気予報にしても、昔はラジオの気象通報を聞いて自分で予測を立てていた人もいたわけです。私も20代のころは山岳会で、さんざん怒られながら書きましたよ。でも今は、テレビを見れば天気図や雲の様子、さらには「明日は洗濯日和」ということまで教えてくれる。

- 至れり尽くせりというか、親切過ぎるというか(苦笑)。

普通に生活していれば、自分で予想する必要はないんですよ。でも、山だとテレビは見られないし、スマホが通じなければ明日の天気も分からない。そこの違いが分かっている人は分かっているんだけど、分かっていない人は分かっていない。そういう人たちにどうやって伝えていくのかが今の課題だと思っています。

- まずは、ちょっとでも気にとめてもらえるようにしないといけないですね。

インフラの整備も必要ではあります。スマホが通じるエリアが増えて、Wi-Fiが使えるようになれば便利になります。そこは、そんなに甘やかしてはいけないという人もいますが(苦笑)。最近増えてきた外国人旅行者は、今後、もっと増えるでしょう。さまざまな情報も外国語対応させないといけなくなってきます。それでも、山に登る人の心構えも大事にしたい。ある程度、自分の中に知識や経験、技術を身に付けておかないと、行けない場所があるということを知ってもらう必要もあるんです。

- それがあって、初めて山を楽しむことができる。

山は素晴らしいです。天気が良ければもちろん、雨が降っていてもきれいですし。花が咲いていて、稜線に出れば雪があったり、鳥がいたり。でもそれは、体調が良くて元気に登れればの話。そういうことを楽しもうと思ったら、登山の装備や準備、体調管理が欠かせません。

- 少しでもそういう心構えを持つ人が増えればいいですね。

お金と時間を用意すれば、それが手に入るかっていうとそうではない。観光地ではそういう部分もあるかもしれませんが、山はちょっと違う。来てください、楽しんでください、でもそのためにはこういうことも必要なんですということを、伝えていきたいですね。


現在、センターでは年間約60回の講習を開催。多くの人が参加できる企画や、増加する外国人登山者への情報提供など取り組みたいことはたくさんあるといいます。「『山のグレーディング』も、時間が経てば見直す必要があるし、雪山バージョンも考えないといけない。でも、全部一人で抱えちゃいけないからね」と杉田さん。今後は、行ったことのない山へ行きたいとのこと。「県内は結構登ったけど国内の他の地域や、マッキンリーとか海外も。来年よりは今年の方が体力はあるだろうから、早く行けるといいな」と話す表情からは、山への愛情を感じました。

PROFILE
1953年、岡山県津山市生まれ。就職を機に松本市へ移住し、地元の山岳会「松本学友会ライフ&マウント(L&M)」に入会。以降、会のモットーである「美ヶ原からヒマラヤ」までを実践し、四季を通してオールラウンドな山行に励む。2010年、退職後に登山学校「岳遊舎」を立ち上げる。2012年、長野県山岳総合センター所長に就任。

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