2016.03.18 [株式会社ヤマテン 代表取締役 猪熊隆之さん]
山×気象予報士 vol.3
- え?そうなんですか?
山小屋にいても、今日は天気予報も雨だし、どうかんがえても降るだろうというような日でも、「雨が降るとは思わなかった」「寒くて低体温になりかけちゃった」と話している人がいるんですよね。また、落雷多発地帯の山頂で、落雷や局地的な豪雨の可能性がある積乱雲が周囲で発達しているのに、全く空や雲を気にする人がいなくて、のんびりとお弁当を食べながら話しているのに驚いたこともあります。最近は山小屋でもインターネットが使えるところが多いですが、あまり見ている人はいないんじゃないかな…。ちょっと残念ですけど。
- 意外と気にしない人が多いんですね。
どんな天候でも耐えられるという人はほとんどいないはずなんですけどね。毎秒30メートルの強風だと飛ばされちゃうし、吹雪の中を長時間歩けば低体温になるし、暴風雨や落雷、鉄砲水などリスクを上げれば切りがないんです。でも、それを想定しながら行動することも、登山の楽しみの一つだと思うんですけどね。
- 準備や、状況を判断して行動することも含めて、「登山」だと。
自然が相手なので、さまざまなリスクから身を守る方法を知っておく必要はあります。例えば、天気図を見て、大荒れになるかならないかだけでも判断できればいいんです。それが難しいなら、「山の天気予報」を参考にしてもらえれば。
- せめて情報をチェックしないと、危ないですよね。
山で長生きをしたいのだったら、もうちょっと気にした方がいいですね。でも、それが義務になっちゃうと面白くないので。今、毎月1回、「山の天気講座」というのを開いているんですが、それは実際に山を歩いて、現場で天気を学べるようにしています。山の中で勉強するのが一番よく分かるし、まあ…自分が登りたいというのもありますけど(笑)。
- (笑)。でも、山で勉強できるのは楽しそうです。
雲を見ることは楽しいし、天気が読めると登山はもっと面白くなります。分かるようになってくると、どんどん楽しくなっていくし、そうすると次第に分からないことを解決することにも手応えを感じるようになってくると思います。そうやって、どんどん興味を深めてもらえれば嬉しいです。
- 天気を知ることで、より登山が面白くなっていくんですね。
「山の天気予報」のコンテンツの充実をはじめ、山に登るツアーと机上講座を組み合わせたり、山小屋で出張講座を開いたり、いろいろな企画もしています。これからさらに、啓蒙活動に力を入れていきたいと思っています。
慢性骨髄炎はその後、世界屈指の名医に巡り合って手術を受けて落ち着いているとのこと。「経過観察で、5年は見なければいけないと言われました。これで6年経ったので、再発の心配も少なくなったかな」と猪熊さん。聞いている側は驚きの連続という壮絶な人生を、淡々と振り返ってくれました。「山への恩返し」という、猪熊さんの山岳気象予報。今後、登山者にとっては何より頼もしい存在になっていくでしょう。
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