2016.03.02 [信州大学教育学部 森林生態学研究室 准教授 井田秀行さん]
ブナ林×大学准教授 vol.2
- ブナを建築材に…って、あまり聞かないですよね?
加工が大変なので、ほとんど建築材としては使いません。でも、200年、300年という飯山の古い民家では、梁などに使われています。水平、上からの圧力がかかる部分です。
- あ…!上からの重みに強いから!
昔の人は木の性質を分かっていて、適材適所で上手く使っています。最初は面白半分で始めたんですが、今は信大の工学部の先生との共同研究に発展しました。福島県の只見町から依頼があって、地域の古民家にどんな木材が使われているのか調査も行いました。
- 研究対象がどんどん広がっている感じですね。
ブナ林=原生林、というイメージだったものが、最近は、ブナとのさまざまな関わりに興味を持つようになりました。建築系の学生と一緒に取り組むなど、今までとは違う分野とのつながりができて楽しいです。
- ほかに、絵本なども出版してますよね。
2011年にはゲーム感覚で木の葉の名前を覚えることができる「信州木の葉図鑑」を、2015年には絵本「おしりのはっぱ」を出版しました。地元の皆さん、特に子どもたちに信州の自然を知ってほしいという思いがあります。今は、都会の子どもも田舎の子どもも遊び方が一緒じゃないですか。ゲームもいいけど、それだけじゃもったいない。せっかくこんな自然豊かな場所に住んでいるんだから、プラスアルファの遊び方もしてほしいですよね。自然の楽しさや面白さを知ってほしいし、誇りに思ってもらいたいんです。
- そうは思っても、それって難しい…ですよね。
一番ネックになるのが、足を運ぶこと。興味がある人は観察会などにも来てくれるんですが、全く興味がない人は参加しようと思わない。そこをどういうふうに広げるかが課題です。「子どもに自然体験させたい」と思っている親は多いはずなので、なるべくハードルを下げて、食いついてもらえるような工夫をしなきゃいけないんですよね。教育学部にいる以上、学生たちにもそうやって伝えていきたいと思って取り組んでいます。
子どものころは、家の近くの里山で野遊びをしていたという井田さん。「自然の中が落ち着く、とかそんなかっこいいことはなくて…周りの皆と同じようなものですよ」と振り返ります。でも、思い起こすと小学校時代、担任の先生との印象深いエピソードがあったそう。次回、詳しく伺います。
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