2011.03.08 [那美屋織物(飯田市) 小栗弘平さん]
地域に育まれ伝承されてきた織や布にこそ日本の心や美の姿がある
-とても薄くて、軽いですね。
今は、この染め方を、縦にぼかそうと思っていて。縦にぼかす織物というのはないんですよ。これが難しくてきりきり舞いしているんですが、装置が必要なので、考案して。縦のレインボー、虹のようにしたいと思っています。
伝統は伝統で大事にしながら、生活様式の多様化や消費者意識の変化を意識した「ものづくり」を絹製品を通して続けて行きたいと思っています。そのためには、今の繊維の実情を知らなかったら展開できない。私は繊維製品品質管理士の資格も持っているのですが、情報誌やインターネットなどを使って、日々、情報収集しています。
これから若い人もこういう方向に進んでくれればいいんですけどね…まあ儲かる仕事ではないですが(笑)。私は、私の仕事ですからやっているだけです。ある程度、見通しに明るさが出てくれば…と思ってはいますがね。なくすのは簡単なんですよ。私が辞めればいいんですから。でも、私は辞めたくないからやっている。
飯田の絹織物の保存、従来の織物を守っていく一方で、新製品開発もしたいし、貴重な蚕糸である天蚕やムガ蚕の普及にも取り組みたいし…とにかくいろいろな夢を持って進んでいきたいです。今年は天然繊維、絹の復活の一年にしたいですね。
伝統と新製品開発、昔の文献と染料の化学式、作る人の思いと着る人の気持ち…ときには相反するような多くの事柄をどれも深部まで丁寧に掘り起こし、大事にして伝える-小栗さんは、織物という「もの」だけではなく、歴史なども含めた広いものを残そうとしているように見えました。きっとそれが「伝統」で、それを伝えていくことが「伝統工芸士」の仕事なのかもしれません。
住所 | 長野県飯田市小伝馬町2-3497-4 |
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電話 | 0265-24-7380 |