2012.09.05 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
斑尾山(北信五岳その5)
北信五岳の紹介のおしまいは、野尻湖のそばにそびえる斑尾山(まだらおさん:標高1382m)です。妙高火山群のひとつでもあるれっきとした成層火山ですが、山頂の標高がやや低くて、全体に丸みをおびた形とその落ち着いたたたずまいは、この火山が活動を止めてからかなり時間が経っていることを意味しています。(写真は8月に飯綱町からみた斑尾山の姿です)
妙高市在住の早津氏の研究によれば、今から約70万年前頃に山体の下部を構成する火山活動が起こり、約60万年前には山麓の溶岩ドームも活動があり、50数万年前頃には火山上部を構成する火山活動があったとされています。けれども、活動を終えてから長い時間を経ていることから、侵食作用によって火山体の原型がよく残っていないことと、火山内部が見られる場所(露頭)が少ないことから、その活動史はよくわかっていません。
それにしても、数十万年にわたって生まれてきた妙高火山群の中で、斑尾山がもっとも古い活動を行った火山であることは確かです。飯綱町や信濃町あたりから眺めると、4つの火山それぞれの形が火山の新旧をよく表していることがわかります。
人の一生にたとえると、斑尾山(長老)、飯縄山(おじいさん)、黒姫山(おじさん)、妙高山(お兄さん:兄弟の中では末っ子)ということになります。ついでにいうと、新潟焼山はまだ生まれたての赤ちゃんです。北信濃は、こんな風に高原の上に立ち並ぶ火山を見比べて、数十万年にわたる兄弟火山の盛衰を実感できる特別な場所といえます。(五岳の中では、山の生い立ちからみて戸隠山は別格の山です。詳しくは戸隠山の記事をご覧ください。)
~ 天高し 兄の背をこす弟(おとと)にも ~
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