2012.03.01 [■アレ☆これ☆信州]
Vol173■とく☆とく信州 松本家具
信州の「伝統的工芸品」をご紹介するシリーズの第3回。今回は、長野県の中央部、松本市を主要産地とする「松本家具」(経済産業大臣指定)です。
「松本家具」の起源は、16世紀末、松本城を中心に城下町が形成された頃にまで遡ります。17世紀末には多くの職人が家具の製造に携わっていた記録があり、既に産地を形成していたことがわかります。
松本の城下町とその周辺地域に向けて、箪笥(たんす)や座卓等の日常家具が作られていましたが、時代が進んで交通が発達すると、県外でも販売されるようになり、昭和初期まで生産拡大が続きました。
このように松本が家具の産地として栄えたのは、
・信州は全国有数の森林県で、多種多量の良木を産出し、材料が豊富だったこと
・松本地域は空気が乾燥していて風も強いため、木材が良く乾燥し、加工にも貯木にも適していたこと
など、生産条件に恵まれていたからでしょう。
戦後、他のものと同様、家具の製造においても全国的に機械化・大量生産が進みましたが、伝統的な技術・技法を受け継ぐ職人達によって、今もなお松本家具は手作りされています。
ここで、松本家具の特徴について簡単に触れておきましょう。
木地には、ケヤキ、ミズメ、ウダイカンバ等の無垢材を使用し、これを昔から伝わる多種多様・精巧緻密な組接技法で組み立てます。数ある技法の中でも、茶布台(ちゃぶだい)の枠を組む通称「鯱留(しゃちどめ)」と呼ばれる技法は、一度組んだら壊さない限りはずすことができないというもので、松本の家具職人が家の梁や柱を接ぐ時に使う伝統的な建築工法をもとに考案した独特の技法です。
伝統的な組接技法で組み立てられた松本家具は極めて堅牢で、何代にもわたって使用することができます。
また、家具作りは「流れ作業」や「分業」ではなく、一人の職人が一つの家具の材料となる木の吟味から仕上げまで一貫して手がけます。そして、その品質に自分が責任を持つという意味で、出来上がった家具の目立たない所に自分の銘を入れるのです。
丈夫で長持ちし、使えば使うほど木の味わいが出て美しさを増す「松本家具」。
松本の街を歩いていると、松本家具のイスやテーブルを使用している、“こだわりの”喫茶店やホテルを見つけることができます。
そんな時はぜひお店に入って、コーヒーでも飲みながらひとときを過ごしてみてください。きっと本物が持つ心地よさを体感していただけるでしょう。
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