2008.11.27 [南信州エリア]
Vol.19特集■深夜、神々が乱舞!奇祭「霜月祭り」
深夜、神々が乱舞する!
冬こそ熱い、南信州の奇祭「霜月祭り」へ
信州最南端の遠山郷(飯田市上村・南信濃)は、たくさんの谷が折り重なり、その谷ごとに集落がある、まさに秘境。
日本のチロルとも呼ばれる「下栗の里」(上村地域)では、なんと標高800〜1100mの傾斜30度余りの急斜面に農家や畑が!実際の光景を見ればもっと驚くことでしょう。
よく谷に向かって鍬を振っている人をみかけます。あまりもの傾斜に畑の土がどんどん流れてしまうので、土を自分の畑に戻しているんですって。
平成6年(1994年)に矢筈(やはず)トンネルが開通するまで、都市部からのアクセスは決して良くありませんでしたが、そのおかげで他では見られない独特の民俗文化が今も色濃く受け継がれています。その代表は、なんといっても、霜月祭りでしょう。
■ 映画「千と千尋の神隠し」の原点との噂も?
こう聞けば、イメージが浮かぶ人も多いのでは。
霜月祭りとは旧暦の霜月(しもつき/現在の12月)に行われる「湯立神楽」と呼ばれる神事のこと。釜で煮えたぎらせた湯をもちいて、無病息災や五穀豊穣を願ったり、翌年の吉兆を占ったりするもので、各地で様々な形式があります。
中でも、遠山郷のものは、かなり独特です。
■様々な神様が降臨
遠山郷の霜月祭りだけでも、「面(オモテ)」と呼ばれるおめんの種類や舞の動きなど、地区によって違いがありますが、ここでは、その1つ「木沢系」と呼ばれる祭りを紹介しましょう。
祭りの当日は、早朝から住民総出で準備が進められます。釜清めや注連縄作りに大忙し。でも、これもクライマックスへ向けてのプレリュード。段々と気分が高まります。
日もほぼ暮れた午後5時頃、ようやく本祭りがスタート。
まずは村内の神々と全国からやってきた神々を、湯でもてなす儀式から。神秘的な神楽や舞が、延々と夜中の2時すぎまで続きます。
■クライマックスは午前3時!
でも、ここまでは、あくまで神様のための神事。
全国の神々を送り帰すと、舞殿には次々「面」を付けた舞手が現れます。これぞ村内に祀られる神々が降臨した姿で、舞ったり人形を持っていたりと個性も様々。氏子を殴りつけて暴れる「婆」、その婆と抱き合って退場する「神太夫(かんだゆう)」、そんな面も登場します。四面(よおもて)と呼ばれる4つの面は、観衆の中にまで乱入し、境内は興奮のるつぼへ。でも、驚かないで、神々と一緒に乱舞しましょう!
舞いながら、「ヨーセ、ヨーセ」の掛け声とともに、四面は跳ね回ります
次から次へ、様々な「面」が登場しますが、圧倒的な存在感を示すのは火の王(大天狗)と水の王(小天狗)。
熱い釜に足をかけ、煮えたぎった熱湯を、なんと!素手でまき散らすのです。
この「湯切り」こそ、この祭りの最大の山場。観客も、御利益を授かろうと、「我先に」とお湯を浴びようとします。
観てるだけじゃ勿体ない、祭りに来たからには御利益がいっぱい欲しいという気持ちも分かりますが、飛んでくるのは熱湯ですのでほどほどにしましょうね(笑)
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