楽園信州

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<VOL.249>I♥信州(あいラブしんしゅう)

大沢さん:「まだまだ農業の経験が浅いので、本当の辛さとか挫折とかはこれからなのかなと思っています。今年(2013年)の台風のときに、育てていたオクラが全滅してしまったことがあったのですが、自然相手なのでしょうがないなと思えたんです。気持ち的に辛いとかではなくて損害の方がダメージあったので。でもこういう辛さは、東京で働いていたときとは全然違います。
農業に携わってみて、今までとは違う生き方をし始めたことで、喜びや発見の方が大きく感じることが出来るようになりました。気持ちが滅入ってしまうような辛さではなくて、清々しい辛さです。」

<地域に住まう一人として、自分たちが小川村にできること>

大沢さんは、小川村の地域のみなさんとも積極的にコミュニケーションをとっています。
土地のことを良く知り、同じ地域に住んでいる人々と接点を増やすことが地域に溶け込む第一歩だと考え、声をかけられたことはできる限り参加しようと決めています。
地域には、消防団をはじめ、伝統の祭りや恒例行事など、声がかかることはたくさん!
自分自身のできる範囲で、多くの役割をこなしています。

大沢さん:「半年くらい生活を続けた中で、“村”ってこういうことなんだってことが徐々にわかるようになりました。できないのにやると言ってしまうのはいけないですが、声をかけてもらったことはなるべく全部やろうと決めたんです。小川村に住んでいる自分の役割を期待されている部分はあるなと感じています。」

大学を卒業し、出版社に勤務していた奥様・綾子さんも、前職で培った経験を生かし、小川村のパンフレット制作や公民館報の編集など、地域に貢献しています。

綾子さん:「ある時、編集会議でデザインや編集に携わっていた自分の経験をお話ししたところ、じゃあ小川村のパンフレット作ってみない?と企画がスタートしました。村内のいろんな方に取材して、文章や写真、レイアウトなど全て自由にやらせていただき満足できるパンフレットが作れたと思います。」

村人としての目線だけでなく、移住者としての目線を兼ね備えたパンフレットは、小川村のありのままの姿やそこに暮らす村民の想いが素直に伝わり、パンフレットを手に取った人たちに日本の原風景を思い起こさせるステキな冊子です。

また、大沢さんは小川村に文化を根付かせようと、“HESO ROCK(ヘソロック)”という自主企画の音楽イベントを企画しています。“暮らす”ことに関してはすべてが揃っている小川村に、音楽という文化が混ざれば暮らしがもっと楽しくなるのではないかと考えました。文化を根付かせるには、継続していくこと。それは気持ちだけではクリアすることができない難しさもありまが、地域の方の応援や様々な声を受け、気持ち良い音楽と心地良い空間で、自分なりの生き方を見つけるきっかけ作りにもなればと、企画に励んでいます。

<守りたい楽園、小川村。”明るい農村プロジェクト”>

東京から離れて、少しスローに生きられる場所へ…そう思い飛び込んだ小川村。
大沢さんが、はじめの一歩を踏み出してから5年の月日が経とうとしています。何もかもが順風満帆に進んだ田舎暮らしではなかったですが、少しずつ小川村の風土に馴染み、村民として暮らしを根付かせています。

大沢さん:「小川村は、長野市とか安曇野とかみたいに観光地ではありません。他の地域に比べれば見過ごされがちな場所かもしれませんが、“暮らし”がすごくある場所なんです。
自分自身、地に足をつけて生活していきたいという想いがあったのでこの小川村を選んだのですが、住んでみて大地に根をおろす感覚はだんだん強くなっていますね。それに、“村”って言えるのが自分の中で嬉しいんですよ(笑) あと、気付いたのは意外とアクセスが便利な場所だな、ってことですね。長野に大町に松本…と市街地にも出やすい場所です。」

綾子さん:「地元の方がどう思っているかは別ですが、小川村で畑をやっている人はみんな畑をきれいに、丁寧に作ります。歩いてしかいけない山の向こうにも畑があるのですが、そういうところは機械じゃなくて完全に人間の手でやるしかない。機械で整備できない畑はなかなか手を入れづらいですが、村のおじいちゃん・おばあちゃんたちは、そういう畑でもきれいにやってるんですよね。
森に囲まれたその畑の中は、鳥の声が響くくらいの静けさ。生活音が何も聞こえなくて、木の葉のさざめきとかそういう音しか聞こえません。まさに“楽園”みたいな…現実とはちょっと世界が違う感じです。そういった雰囲気の場所が村のところどころに残っている、小川村ってそういう場所です。」

大沢さん:「だから、それが失われていってしまうのはさみしいので、小川村で元気で暮らし続けていくために、農村が明るくなればいいなと。これは、林業をしている友人と二人で話していることなんですが、僕たちの中で『明るい農村プロジェクト』って名付けていて。定期的に何か活動をしているわけではないのですが、まず自分たちの仕事をきちんと確立させようとお互い日々の仕事に取り組んでいます。こんなところでも農業で生活していけるんだってことに気付いた人が、自分も何かやってみようかなと思ってもらえれば…だからまだ始めの一歩の段階ですね。」

綾子さん:「そのプロジェクトに、地域の子どもたちとおかあさんたちも入れてもらって、子育てのこともできるといいなと私は思ってます。
何だか壮大な話ですが(笑)一緒に農村を明るくしていくメンバーになってやれればいいな!」

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