2013.02.05 [ 職員のみつけた情報コーナー文化 ]
蚕都上田の象徴 優れた資料の巻
地域政策課のYです。
蚕糸業が盛んだった上小地域。その当時を思い出させるような施設などの紹介を3回にわたってしてきました。今回は、シリーズの締めくくりとして、蚕都上田に関するとても参考となる優れた資料を紹介します。これまでブログ → 蚕種業 製糸業 上田紬
昨年(平成24年)の12月に2冊の本が出版されました。「蚕都上田を見て歩こう」というタイトルで、「千曲川右岸編」と「左岸編」に別れています。
発行したのは、「上田小県近現代史研究会」という団体で、上小地域の近代から現代までの歩みを色々な角度から掘り起こし、研究の成果をブックレットの形で私たちも見ることができるように提供してくれています。研究会のメンバーは、学校の先生方やOBの方々が中心です。
この2冊のブックレットは、上小地域の蚕種業や製糸業の施設・建物について、歴史や果たした役割などを写真付きで細かく紹介しています。信州大学繊維学部の講堂や、このブログのシリーズで紹介した上田蚕種の事務棟、笠原工業の常田館やシナノケンシの絹糸紡績資料館はもちろん、各地の施設が載せられています。例えば、しなの鉄道の大屋駅舎、各地の蚕室造りの家や桑園跡、風穴などがあります。
蚕糸業という切り口で、上小地域の施設を一つの資料にまとめたものは、多分ほかにはあまりないので、たいへん貴重な資料になると思います。
また、研究会では、以前にも「蚕都上田」を題材にしたブックレットを2冊出しています。
最初に紹介するのは、平成20年(2008年)に発行された「蚕都上田ものがたり 蚕種業を中心として」です。
長野県や上小地域における蚕糸業の歴史、上田が「蚕都」になった背景、蚕種業や製糸業の栄枯盛衰の歴史などが記されています。特に、蚕種業については、その出発点になったと言える塩尻村(現在の上田市の塩尻地区)がどのようにして、そしてなぜ本場となったのかや、上小地域の各地での生産の規模の状況などが細かく解説されています。
次の「蚕都上田を築き支えた人びと」は、平成22年(2010年)に発行されています。ここでは、蚕種業や製糸業に携わった人たちを紹介しています。蚕種業を日本一にした塩尻村の人たち、蚕種業界から政界に進出した人など。また、製糸業では、生糸販売で活躍した一族、生糸商人、大手の製糸業者の依田社や笠原工業の経営者、シナノケンシの歴史などがあります。さらに、蚕糸業に関する教育や普及啓発に取り組んだ人たちにも目を向けています。上田には、現在の信州大学繊維学部や上田東高校といった蚕糸業の教育の拠点がありましたが、それらの設立や運営に尽力した人、金融機関や公共交通網に関係した人物など、いろいろな角度から「人」に焦点を当てています。
上田小県近現代史研究会は、だいたい年に1冊ずつブックレットを発行しています。これまで、今回の2冊を含め20冊になっています。
別所温泉の歴史、各地のため池の歴史や様子、生活に不可欠な飲料水の確保の歴史、別所線やすでに廃線となった丸子や青木にまで延びていた鉄道の話、上田市の中心商店街である海野町と原町の成り立ちから今日の状況、といったものがあります。
詳しくは、研究会のホームページをご覧ください(こちらです)。残部がないものもあるようです。
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