2013.11.27 [ 職員のみつけた情報コーナー ]
上小ふしぎ発見!?(その16) 相撲だけじゃない!大門稲荷
ミステリーハンター見習いのKです。
前回、長門町の大門稲荷神社の地上3mの土俵で行われる奉納相撲を紹介しましたが、この神社に人を惹き付けるのは相撲だけではありません。
今回は、そんな大門稲荷神社の魅力を紹介します。
それは、鳥居に掛けられた額から始まります。
金網でわかりにくいですが、額には昇龍の彫刻が施されています。鳥居脇の案内板には「平時には取りはずされている」と書かれていますが、長和町にいるK特派員に確認してもらったところ常設とのことです。美しい額をいつでも見られることはうれしい限りですが、金網で守られているとはいうものの、最近、文化財の盗難も多いので心配です。
高辻の脇を通り、本殿に向かうと階段の手前に狛犬があります。私、お稲荷さんには狛犬でなく狐だと思っていたので少々違和感を覚えましたが、帰宅後、調べるとお稲荷さんに狛犬があってもおかしくはないんですね。勉強になりました。
さて、本殿ですが雨風から守るために設けられた覆屋(おおいや)の中にあります。いつもは閉じられている覆屋の格子戸も秋の例祭のため開けられています。
中にある本殿は、文化9年に再建されたもので諏訪の宮大工、二代立川和四郎富昌(たてかわ わしろう とみまさ)が建築したもので、軒に唐破風(からはふ)を配した流造り。覆屋でよくわかりませんが、柿葺(こけらぶき)の屋根の勾配が大変美しいそうです。
本殿には随所に富昌が施した彫刻があります。
左右の柱(向拝柱・ごはいばしら/こうはいばしら)には狛犬が、そして向拝柱を結ぶ虹梁(こうりょう)の両端には象が施されています。この狛犬と象の部分を「木鼻(きばな)」と言います。虹梁の中央の上(蛙股/蟇股・かえるまた)にあるのは鶴と天女でしょうか、他の彫刻には着色されたものありませんが天女の唇には紅がさされています。その上には小槌も見えます。
左に回り込んで格子戸の隙間から覗くと、屋根の妻飾り(懸魚・げぎょ)が見えます。鰭(ひれ)の付いた蕪(かぶら)懸魚のようです。中央に兎が施されていますが、これは懸魚の釘隠しの六葉(ろくよう)でしょうか。その奥の壁面や虹梁の下の支輪(しりん)にも彫り物があります。
目を少し右に移すと、建物の中心部(母屋・もや)と向拝柱を結ぶ海老虹梁(えびこうりょう)には龍が彫られています。手前のものは龍の頭が母屋側に、後ろのは向拝柱側にあります。木鼻の象と狛犬も見ることができます。
その木鼻の上の手挟(たばさみ)には牡丹が施されています。
この本殿と鳥居の額は彫刻が見事であること。そして高辻は相撲史上貴重な辻であることから、いずれも長和町の有形文化財に指定されています。
さて、この本殿を建築した二代立川和四郎富昌ですが、木目を生かした味わいのある素木彫刻を完成し、単なる装飾彫刻から芸術性の高い彫刻に押し上げた人で、「幕末の甚五郎」とも呼ばれていたとのこと。
また、寛政の改革で有名な松平定信からも贔屓にされ、江戸幕府から「内匠(たくみ)」の称号を与えられています。
作品は、地元の諏訪大社上社はもとより、長野の善光寺、静岡の浅間神社・秋葉神社、京都御所、そのほかに愛知県半田市亀崎や飛騨高山の山車など各地にあります。
皆さんも、大門街道をお通りの際は大門稲荷神社に車を止め、高辻や彫刻を見て心を静められてはいかがですか。
*本文中の神社建築の各部の名称については、私なりに調べましたが、誤りがありましたら修正いたしますので、恐れ入りますがメールでご指摘いただけましたら幸いです。
大門稲荷神社はこちら↓↓↓
住所:長和町大字大門字丸岩3084-1
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