信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

高原リゾート×アウトドア用車椅子 vol.1

八ヶ岳の山麓に広がる富士見高原。
富士山、南アルプス、北アルプスの景観や、ハイキングや散策、サイクリングなどのアクティビティが楽しめる富士見高原リゾートは、数年前から「ユニバーサルフィールド」を目指し、環境づくりを進めています。
その取り組みの中心にいるのが、藤田然さん。「スーツ姿にチェーンソーを振り回し、ユニバーサルな道を切り開いた人」という噂を聞き、若干の不安を抱きながら訪ねると…穏やかな笑顔で迎えてくれました。

誰もが一緒に、感動を共有できる場所に

- 「ユニバーサルフィールド」って、どういう意味なんでしょうか?

子どもからお年寄りまで、障害者も介助者も、誰もが共に感じ、楽しむことができる場所です。バリアがあってもそれを楽しみながら解決できるように、環境づくりを進めています。

- 具体的にはどういうことを?

まずは、アウトドア用車椅子「HIPPO(ヒッポ)」を導入しました。「HIPPO」は大きなタイヤと長い持ち手で、介助者が簡単に操作できます。背もたれがリクライニングして、足も伸ばせるので乗り心地も快適。乗っている人も介助者も一緒に散策を楽しめます。

HIPPO

- 山道も行けるんですね。

結構、どんなところにも行けますね。3輪でシンプルなので扱いやすく、軽くて前輪も楽に浮かせられるので、子どもたちも「やりたい!」って率先してやるほどです。2011年6月に1台導入して、その後は少しずつ増やして、今は7台あります。ほかに、車椅子の前面に装着して前輪を浮かせるタイプの「JINRIKI(ジンリキ)」もあって、状況によって使い分けています。

- 「JINRIKI」は人力車っぽいですね。名前の通りで。

「HIPPO」はフランス生まれですが、「JINRIKI」は日本、しかも箕輪町の企業が開発したものです。リヤカーと同じような感覚なので、2、3分、レクチャーすればすぐに使えます。これは「HIPPO」の後に導入して、今は22台あります。

- どちらも、台数は結構ありますね。

敬老会や施設の遠足などで利用があると、1つの団体で7、8台は普通に出るので。そんなにたくさん必要なのかって話もあったんですが、誰がいつ来ても、借りられる状態にしたかったんです。

JINRIKIを使っての散策

- これ、使いたい場合は予約するんですか?

導入した当初は予約制で、利用時間や利用者の症状、何人で来て、何をしたいかなど、細かいやりとりをしていました。でも、利用する側からすると当日のその時間、ちゃんと行けるかどうかなんて分からないんですよ。せっかく予約までしたんだからと無理して来て、疲れて帰る…なんてことになっても誰も喜ばない。それに、スタッフ側からしても、手間がかからないに越したことはないですよね。

- じゃあ今は、予約なしで利用できるように?

特に、利用者の名前や年齢、症状などを聞くことはしていません。本当に障害があるのかどうかも分からない。私たち受け入れ側としては、使うか使わないかはどちらでもよくて、楽しんでもらえればそれでいいんです。

- スタッフ側がそう思っていると、利用する側も気が楽かもしれないですね。

そうだといいですね。ほかにも、ゴルフ用カートを再利用した「天空の遊覧カート」や「花の里周遊カート」を用意したことで、組み合わせてできることが増えたと思います。カートには、車椅子や「HIPPO」を乗せることもできるので、展望台まで上って、ハイキングコースも楽しめます。あと、この冬に「デュアルスキー」を日本で初めて導入しました。せっかく準備したんですが、今年はあまり雪が降らなくて…(苦笑)

花の里周遊カート

今シーズンより導入されたデュアルスキー

- 確かに…。早く積もるといいですね…。

「デュアルスキー」はフランス製なのですが、ライセンスを取得してないと操縦できないんです。それで、昨年12月に、3人のインストラクターが渡仏してトレーニングと研修を受けて、公認パイロットの認定を受けました。あとは本当に…雪を待つばかりですね。


「HIPPO」の導入のきっかけは、とあるイベントだったといいます。そこで自身も車椅子生活をしながら、世界の「ユニバーサルツーリズム」について調査活動を行っていた中岡亜希さんとの出会いが、大きな転機となりました。「HIPPO」を購入したいという藤田さんに、「私たちはこれを売ることを目的としているわけではないんです」と中岡さん。では一体…?次回は中岡さんも交えて、お話が続きます。

PROFILE
1975年、横浜市生まれ。10年ほど山小屋で働き、2006年、富士見高原リゾートに入社。スキー場、ホテルなどの部署を経て、それまでの知識や経験を活かしてイベント企画やロケ誘致に携わるようになる。2010年ごろから「ユニバーサルフィールド」を目指した取り組みに着手。「首都圏から見れば、富士見高原は長野県の“入口”。ここで楽しんでもらったら、次は上高地や白馬、志賀高原などもっと奥に行ってもらえるようになれば」

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