信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

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趣味の「山」から、お客様を案内する「山」に

登山において大切なのは、安心して楽しめること。そのために頼れる存在なのが登山ガイドの方々です。長野県には、県知事認定の登山ガイド「信州登山案内人」や、各地域に登山案内人組合があり、地元の山々に精通した案内人・登山ガイドとして活躍している人がたくさんいます。

3回目となる「信州魅力発掘人」に登場するのは、白馬でガイドとして仕事を始めて3シーズン目となる池尻裕美さん。「とにかく体を動かすことが大好き。できることならずっと登っていたい」と笑顔を見せる池尻さんに山のこと、ガイドのこと、そしてこれからのこと-シーズンオフにお手伝いしているという白馬の和食処「和(なごみ)」でお話を伺いました。


「とりあえず取っておこうかな」-軽い気持ちで受けたガイド試験

- 池尻さんが山と関わるようになったのはいつごろからですか?

最初は高校生のころ、兄に連れていってもらったスノーボードです。初めてのスノーボードは全然滑れなくて、すごく悔しい思いをしました(苦笑)。出身は岡山県で、もともとスポーツが大好き。中学・高校はずっとバスケットボールをしていました。

20歳を過ぎて、本格的にスノーボードを始めました。栂池高原スキー場で、とにかく上手い人の後についていくという「自己流」で滑っていましたね。2シーズンは栂池で過ごして、夏は岡山へ帰っていたのですが、こちらで仲良くなった友人から「6月いっぱい滑れるところがある」と聞いて、立山黒部アルペンルートへ。そこで通年バイトしながら、過ごすようになりました。

- スノーボードがきっかけだったんですね。

それから5年くらいは、立山と北海道のニセコひらふスキー場(現:ニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフ)を行ったり来たりしていました。ずっと寮生活だったのですが、そろそろ拠点となるようなところを作ったほうがいいかな…と考えて。立山には友人がたくさんいたのと、岡山にも近いと思ったので、こちらに住むようになりました。

- ガイドになったのはいつごろですか?

立山でバイトしている間に、「長野県のガイド資格があるよ」と教えてもらって、信州登山案内人の試験を受けました。そのときは仕事にしたいと思っていたわけではなくて、何となく興味を持ったので受験した感じです。ずっと山の近くにはいたので、せっかくだから取っておこうかな…くらいの気持ちですね。試験は筆記と実技があって、実技の方は安全確保技術(確保技術・下降技術)、搬送技術があるのですが、ロープを使うことがそれまで全くなかったので、知り合いにお願いして、一から教えてもらいました。

実は登山も、雪がない期間は山に登るくらいしかないから…という感じで始めました。でも、立山は比較的楽に行きたいところに行けて、ご来光も夕日も見ることができる気軽に楽しめる山だったので、どんどん山の魅力にはまっていきました。趣味で登山していた期間は長いのですが、ガイドとしては3年目。まだまだ新米です。

ガイドで一番大事なのは下見

- 普段はどのようなコースを案内しているんですか?

白馬山案内人組合や、白馬村の白馬マイスターにも登録しているので、組合や村、あとは旅行会社から依頼をいただいて案内をしています。日帰りだと八方池や栂池自然園、泊まりだと、稜線に出るコースもあります。日本山岳ガイド協会の登山ガイドの資格も持っているので、他県の山に行くこともあります。私は、下見に行けるところであれば仕事を受けますが、行けないところは受けません。コースタイムや休憩場所など、事前に情報はありますが、そのときによって気をつけなければいけない場所も異なるし、毎回お客様も違うので。

- 行ったことのあるコースでも改めて下見に?

一度行ったことがあるルートでも、必ず行きます。下見と当日で同じルートを2回歩くことにはなりますね。天候や人数によって気をつけなければいけないポイントは変わりますし、山には何かしらリスクがあるものなので。私自身、ガイド業で一番大事なのは下見だと思っています。

幸運なことに、私は今まで大きなトラブルに見舞われたことはないのですが、ガイドの先輩からは途中でケガや体調を崩す人、あとは「休憩が短い」「もっと早く歩きたい」など、機嫌が悪くなる人もいると聞きます。団体の場合はどうしても、ペースが一番遅い人に合わせて歩くことになるので、そこをどう調整するかは難しいですね。あとは、危険だとお伝えした場所ではお客様も緊張しているんですが、意外と最後のなだらかな道で転んでしまうということがあるので…集中力を切らさず、最後まで気を抜かずにいられるようにするのも大切です。

- ガイドをしていて大変なことや楽しいことは何ですか?

今のところは大変というよりも楽しさのほうが大きいです。帰ってきたら、がくんと疲れが出るということはありますが、仕事中はとにかく楽しくて。お客様から学ぶことがたくさんあるのも、ガイドの面白いところです。50代、60代の方が多いのですが、自分が行ったことのない山のことや人生の話なども(笑)。山以外のこともいろいろ勉強になります。旅行会社のツアーを担当することもあるのですが、「女性のガイドさんで良かった」「池尻さんがガイドをするツアーに参加したい」と言ってくれるお客様もいて、本当にありがたいなと思います。


「お客様から元気をもらって、私も元気を差し上げて、長い行程でも楽しく歩いていける」と話す池尻さん。山に登ること、そしてガイドの仕事が好きだと言うことが、その表情からも伝わってきます。次回は、仕事を始めてから変化したことや、これからの目標をお聞きします。

PROFILE

岡山県生まれ、白馬村在住。スノーボードがきっかけで山の魅力にのめり込み、長野県へ移住。ちっちゃな体からあふれるエネルギーで、北アルプスを中心に登山ガイドとして日々、奮闘している。
信州登山案内人(白馬山案内人組合所属)、日本山岳ガイド協会認定 登山ガイド。

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