2012.12.28 [ 【第六感】 ]
諏訪湖アートリング第5回「諏訪市美術館」
シリーズでお送りしている諏訪湖アートリング協議会加盟の美術館・博物館紹介コーナー。
第5回は、「諏訪市美術館」です。
諏訪市美術館は、昭和18年、片倉製糸の製糸道具・考古資料の展示施設として建築された「懐古館」が前身です。その後、諏訪市に寄付され、昭和31年5月、長野県で最初の公立美術館として開館しました。現在では、登録有形文化財にも指定され、レトロでシックな空間の中でゆっくり美術鑑賞を楽しめる施設として親しまれています。
外観は和風なのに、中に入ると洋風で独特の景観を醸し出しているのも大きな特徴で、お城あるいは銭湯のような雰囲気があるとも言われています。
また、東郷青児、細川宗英など、全国的にも有名な作家の作品を数多く収蔵し、コレクションの幅の広さが大きな特徴となっています。
隣接する日帰り温泉施設「片倉館」(重要文化財)とともに、諏訪地域の歴史ロマンを感じさせるお楽しみスポットとなっています。
まず入って迎えてくれるのは、彫刻家細川宗英の作品です。
細川宗秀は、当時主流だった西洋独特のモチーフを打破し、室町時代の地獄草紙や風神・雷神などの、日本固有の美をモチーフにしていることが特徴です。
その造形力は飛びぬけていて、日本で右に出るものはいないと評価されています。
作品にはどこか一部がくずれた人体が多いのですが、人間の命は限りがあっても美しさは永遠に残るというメッセージであり、永続する時間が表現されています。
古めかしい階段を上がった2階では、企画展「SUZU高木こずえ作品展」が開催中です。
高木こずえさんは、木村伊兵衛写真賞を受賞されている、諏訪生まれの若手気鋭写真家です。
その高木さんが、幼少期を過ごした諏訪での記憶を取り戻したいと思い、100日間諏訪に滞在しながら撮影した作品が展示されています。
抽象的で、わざとピントを外し撮影されている写真は、はるかな記憶をたどるかのようです。
真ん中の展示ケースには、滞在中と6才までの、高木さんと諏訪に関するものが納められています。
引き出しの中には、どんなものが入っているでしょうか。
ひとつひとつ開けて、確かめてみてください。
「SUZU」というタイトルは、記憶にもない不確かなものを追っていく作業が、遠くから聞こえてくる小さな鈴の音を、どうにか聞き取っていくようなものだったことに由来しているそうです。
時間を超えるような不思議な感覚を、味わってみてはいかがですか。
諏訪地域の様々な風景をぜひ地元の諏訪の皆さんに見ていただきたいとのことです。
合わせて、藤森栄一氏の撮影した昭和30年代の諏訪地域の写真も展示されていますので、こちらも懐かしい方々も多いのではないでしょうか。
諏訪市美術館には、東郷青児による「女」も所蔵されています。
この作品は、なんと、市内に住んでいた方が作者の知人だった縁で、当美術館のために描かれたものだそうです。
この一枚を見るためにだけ遠方から訪れる人もいるそうです。
こちらも必見です。
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