2016.11.14 [軽井沢町有害鳥獣対策専門員 小山克さん]
里山×鳥獣対策 vol.1
- 選んで捕まえないといけないのですね。
一頭一頭を見て、力が弱そうな、群れに支障がないであろう個体を選んで、毎年、駆除を行います。群れの動きに合わせて、檻を移動させ、檻に入ってくる個体を識別してから、捕まえます。
山中で行う、サル追い、罠設置等の作業
- 捕まえるのも大変ですね。町ではいつごろから対策を?
最初はピッキオで、群れの数など生息状況の調査を行いました。それから、対策案として、追い払いを実施するのはどうかと提案して。始めは猟友会が5年ほど続けて、その後、2008年からは町で行っています。
- 実際に対策をして、効果はどうですか?
毎年駆除している中で、現在の頭数は25頭前後まで減らしています。将来的には、人とサルが住み分けられたら良いのですが。軽井沢の場合は山の奥まで別荘があるので、住宅地、別荘地エリアから、順次、別荘地エリア、さらにその奥の国有林へと追い上げていきたいと考えています。
野生動物によって荒らされた、軽井沢の別荘のステータスでもある苔庭
- 最終的にはゼロに?
この群れを将来的に町としてどうするのかは、今後、協議していきたいと考えています。
- 他の地域でもこれだけの取り組みを行っているのでしょうか?
一つの群れにこれだけの期間、専属スタッフで追い払いを継続している地域は少ないと思います。ある程度、1頭1頭のサルの顔も識別しています。ちなみに、サルはボスが群れを引っ張っているのではなくて、母系集団といいますか、お母さんグループの集まりから群れが成立しています。 また、群れ内のお母さんグループ同士には、優劣の力関係もあるようです。
- 人間社会と似ていますね(苦笑)。
軽井沢ではサル以外にも、クマやシカ・イノシシも出没します。主にサルの対策をしながら、住民からの鳥獣に関する問い合わせの応対や、猟友会のシカ・イノシシの捕獲のサポートなども行っている小山さん。ついつい、サルの話に聞き入ってしまいましたが、次回は小山さんがずっと研究を続けてきたクマが登場します。
PROFILE
1968年、東京都・杉並区生まれ。東京農業大学在学中から、神奈川県丹沢山地でツキノワグマの調査研究に携わる。卒業後、株式会社野生動物保護管理事務所に勤務し、研究を継続。1999年、NPO法人ピッキオへ。軽井沢町の委託でツキノワグマ対策を行う傍ら、ガイドとしても活躍。2009年から現職。ニホンザルの対策・追い払いを中心に野生動物との軋轢の回避、普及啓発活動に尽力している。
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