2011.05.31 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
丸畑渓谷(南信州売木村のポットホール)
南信州の下伊那地域には見応えのあるポットホール(甌穴:おうけつ)がたくさんあります。ポットホールというのは、河床の岩盤表面に円柱状に開けられた縦穴で、水流と礫(れき)によって削られて出来たと考えられる自然の造形です。
売木村の丸畑渓谷(売木川)には、日本一形が美しい※とも言われる親子のポットホールがあります。大きな方は直径3mくらいで、小さい方は直径50~60㎝です。
(注※:伊那谷自然友の会報No.39(1992年)にそのように紹介されています)
面白いのは、この大小のポットホールが隣接していて、小さいほうの穴の側面が削られて、穴の断面が横からきれいに見えることです。どっちが親で、どっちが子なのかは、解釈によって意見が分かれるかもしれません。
きれいなポットホールが出来るには、かたくて均質な岩盤と勢いのある水流、かたい礫、適度の亀裂などの要素が不可欠です。じつは美しいポットホールは南信や中信地域に多く、東信や北信地域にはあまりみられません。それは長野県の地質が東西で大きく異なっていることの表れです。その土地の歴史を物語る証拠ともいえる美しいポットホールは、まさしく地域の遺産といえます。ポットホールのすぐ下流には、瀬戸の滝がとどろきをあげていました。
~ 滝壺のうへにむっつり 藤の花 ~
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