2012.03.30 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
浅間山(活火山)
長野県には6つの活火山がありますが、その親分にあたるのが浅間山です。
3月に軽井沢で開催された環境保全研究所公開セミナーの中で「浅間火山~その自然史~」というテーマで話をさせていただきました。それは100万年にもわたる火山とその周辺の自然史を、15分にまとめて語るというとても大胆な試みでした()。
浅間山は日本の代表的な活火山です。しかも、民家の軒先の前で悠々と煙をはき、人の暮らしのすぐそばにある特別な火山です。浅間火山(前掛山)は過去1万年という長い期間においても、また過去100年という短い期間においても常に活発に噴火活動を行っているため、日本の110個の活火山の中でも特に活動度の高いランクAの活火山とされています(気象庁資料)。
活火山はしばしば爆発的な噴火を起こし、ときには火砕流や山体崩壊などの恐ろしい現象をもたらします。そのため、日頃の活動の監視と火山情報や防災資料をもとにした噴火への備えは大切です。同時に、長い噴火の歴史をみれば、一時の噴火のあとに、長期にわたって生きるものたちに限りない恩恵を与えてくれるのも火山です。
火山は自ら成長する山となり、はい上がる風とともに雨や霧を呼び、雨水は空隙の多い火山体にしみこみ、やがてしずかな湧き水となって麓の谷や低地を潤します。まさに天然がつくり出す巨大なダムであり、浄水器でもあります。さらに火山は周囲に広大な裾野をひらき、山麓扇状地のなだらかな高原や変化に富んだ湿原をつくります。そして火山は私たち人間に、自然の中での人間のちっぽけさと、生きている地球の息吹をまざまざと感じさせてくれます。もし火山がなかったら、信州の自然景観はずいぶん味気ないものとなることでしょう。
セミナー当日、朝のうちは雲にかくれていましたが、夕方帰るときには雪をまとった優美な姿を見せてくれました。
~ 春の雪いちまんねんの火の山に ~
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