こんにちは、松本空港管理事務所のオスカー・マイクです。
『信州まつもと空港』の滑走路は、長さ2,000メートル、幅45メートル。
もちろん一直線です。また、両側歩道の2車線道路の幅員が15メートル程度であること考えると、45メートルって、とっても広いですよね。
でも、一般の道路と滑走路との違いって、一直線で、とっても広いというだけではないんです。
一番の違いは、滑走路を走行する航空機が、自動車に比べて、とっても重くて、また、とっても速いということ。
『信州まつもと空港』を離発着する航空機で、一番大きな機体は、昨年度、韓国へのチャーター便でも利用されたボーイング737-800。
この機体の重さは、約80トンもあります。普通自動車が1~2トン、大型バスが10~20トン程度ですから、とても重いことがわかります。
このとても重い機体が離着陸の時には、時速約300キロの猛スピードで滑走路を走行します。
こんなに重くて速い機体が、スリップしたり、オーバーランしたら、一大事!
そのため、滑走路の表面には滑りにくくするための工夫が施されています。
それが、滑走路の一番の特徴である「グルービング」。
滑走路の全線にわたり、写真のように32㎜ごとに6㎜の幅の溝が切られています。
これにより、滑走路表面の摩擦抵抗を増加させるとともに、水はけもよくし、降雨時の水たまり等によるハイドロプレーニング現象を防いでいます!
近くで見るとこんな感じ🎵滑走路全体が大きな洗濯板のようです。
横断方向を見るとこんな感じ。
このグルービングにより、摩擦抵抗が大きくなっていることもあり、航空機が着陸する「目標点標識」付近の滑走路は、このようにタイヤ痕が黒々と残っています。
グルービングについては、アルクマの空港見学動画でも紹介していますので、ご覧ください。
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滑走路を走行する航空機が、重くて速いことに加え、一般の道路との違いの二番目は、滑走路上をジェットエンジンで走行するということ。
ジェットエンジンから、後方に排出される激しい気流を「ジェットブラスト」と言い、その影響は、地上走行時でも100メートルにも及びます。離陸時のジェットブラストの影響は、それ以上。
また、滑走路上に異物(FOD)があるとジェットエンジンに吸い込まれてしまい、大事故に。2000年7月のコンコルド墜落事故は、直前離陸機の金属片が原因と言われています。
さらに、猛スピードで走る航空機のタイヤが滑走路上の異物でパンクしてしまっても、大事故に!
そのため、滑走路上には、石ころ一つ、落ちていないように精密な管理をしています。
一般の道路では、この程度の小石やごみ、枝等は、あまり気になりませんよね。
でも、滑走路上では、このようなことは、あり得ません。石ころ一つ、木の枝一つ、ゴミなんてもちろん、落ちていません。
そのために、朝とお昼の一日2回、滑走路点検(ランウェイチェック)を実施し、滑走路上の異物の他、灯火、標識、空港周辺の障害物等、30項目以上の点検を行っています。
また、一般の道路では、このようなひび割れは、あまり気になりませんよね。
でも、滑走路では、小さなひび割れでも、それが進行し、滑走路上の異物(FOD)になってしまえば一大事に!そのため、年に8回、早朝、夜間に徒歩等による巡回点検を行い、どんな小さなひび割も、すべて場所、延長、幅等を把握し、監視をしています。
これは、土木技術職員であるオスカー・マイクの本業。自分の足で歩き、また、自分の目でしっかりと点検し、必要な箇所には、ひび割れ注入を行うなど、安全確保に努めています。
県管理道路の道路パトロールが、一般的に週に1回程度であることを考えると、滑走路の管理がどれだけ精密な管理であるか、おわかりいただけると思います。
重くて速い航空機のスリップ防止のための「グルービング」、ジェットブラストやジェットエンジンへの吸い込み等を考慮した「精密な管理」等、滑走路と一般道路の違い、おわかりいただけましたか?
松本空港管理事務所では、引き続き、航空機が安全に運航できるよう、適切な滑走路の管理に努めてまいります。
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